ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

温故知新の早石田

久保二冠vs郷田真隆 69A順位戦  2011年1月13日 85手で先手勝ち。
菅井竜也vs谷川浩司 52王位戦予選 2010年11月25日 82手で後手勝ち。
吉田一歩vs阪田三吉        1906年4月1日 110手で後手勝ち。

1月13日、私はネットでA級順位戦を見ていた。上記の図は、久保対郷田戦で久保二冠が7手目76飛と指した局面である。その時、棋譜コメント欄で次のような記載があった。<午前10時30分、久保はいつもの手つきで飛車を浮いた。直後に菅井竜也四段が棋士室に入ってきて大きくのけぞるアクションを取った。「検索しても1局だけですよ。勝率ゼロ割の戦法です」。76飛は昨年11月王位戦予選で菅井四段が指した新手である。(棋譜・コメント=翔)>
 将棋は85手で久保二冠が勝ったが、その後の感想戦での出来事。関六段から、100年前の吉田・阪田戦を紹介されたが、両対局者を始め関係者はその事実を知らなかったようだ。この早石田に限らず、現代将棋の序盤戦術は近年、めざましい進化を続けている。久保2冠のタイトル防衛戦が王将戦第1局を皮切りに始まったばかりだが、豊島六段及び渡辺竜王がこの先手3間飛車にどのような対策で臨むのか注目したいところだ。