ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

振り飛車党がタイトル戦へ

第8期叡王戦の挑戦者決定戦が3月16日におこなわれた。

菅井竜也8段が永瀬拓王座に132手で勝利し、挑戦者となった。

振り飛車党の棋士がタイトル戦に登場するのは実にひさしぶりである。

3年前に久保9段が68期王座戦で挑戦者となって以来である。

菅井8段本人にとっては63期王位戦でタイトルを失冠して以来だから5年振りである。

藤井聡太叡王との5番勝負は4月11日(東京)より始まる。

今のところ、前夜祭や大盤解説会(抽選かも?)がまともにおこなわれるかどうかわからないが、名古屋対局あたりに行ってみたいと思われるところである。

今回の詰将棋:23手詰

 

 

詰将棋解答選手権イン長崎

日時:2023年4月9日(日)午前

主催:日曜将棋教室ふぁんた

会場:長崎市民会館2階第2研修室

具体的スケジュール

 9時30分から10時 → 受付と競技説明

 10時から11時 → 1手詰から15手詰を8題

 11時から11時40分 → 採点・解説・表彰

 11時40分 → 終了予定

出題内容:8題は初級用4題 一般用4題です。

 初級用しか解けなくても初級戦のみの表彰を行います。

参加費:300円

注意:盤駒の貸し出しは原則しないので使用したい方は

   できるだけご持参ください。

申し込み tumeparashou@yahoo.co.jp (石川)

 氏名(フリガナ)・住所・電話番号を明記すること。

申し込み締め切り:2023年3月31日(金)

参加定員:20名

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 このイベントの主催「日曜将棋教室ふぁんた」は私も指導講師の一員を

務めている将棋教室で月2回ほど活動している。

 さて、詰将棋解答選手権本部主催の初級・一般戦は今年も中止というか

オンライン開催になっている。

 指し将棋は対面で将棋を指すものだが、詰将棋はテーブルの盤やペーパーを

みつめればよいのでリスクはより軽減されるはずだ。よって、胸を張って

このイベントを企画した。

 問題8題はすべて私が作成する。実戦型詰将棋創作は私の得意分野なので

子供たちもきっと取り組みやすいだろう。

 参加賞はともかく賞品もたくさん用意しているので参加してよかったと

思えるイベントに是非したいものだ。

 

 

二人の挑戦

 2月は逃げ月という呼び名があるが、その月を惜しむがごとく下旬に二人の方が将棋ウオーズ配信で大きな挑戦をやってくれた。

 一人は「香川愛生チャンネル」でもう一人は「はじめチャンネル」(鈴木肇氏)だ。

前者は2月28日に「チャンネル登録20万人カウントダウンSP」と銘打ってウオーズ対局を行った。スタート時点の登録者数が199,495人から20万人を目指した。約4時間弱かけて見事に達成した。お見事です。おめでとう。

後者は2月26日に「100勝チャレンジ」を目指した。果たしてできるかなと思っているとやり遂げましたね。通算、100勝68敗で所要時間が26時間40分。

眠気との戦いでもあっただろうし、これこそまさに「将棋界の一番長い日」ではなかろうか。

 どちらも振り飛車戦が多くて楽しめた。しばらくはアーカイブで観戦し続けることだろう。

今回の詰将棋:19手詰

 

詰将棋の解答(2月ブログ分)

2月1日分:82銀 同銀 72角打 同金 同角成 同玉 52龍 62桂 63金 83玉 95桂 92玉 83金 同銀 62龍 81玉 82龍 同玉 83桂成 同玉 95桂 92玉 83銀 81玉 72金 まで25手詰

 

2月2日分:64桂 61玉 43角 52香 53桂 同銀 72金 同金 同桂成 同玉 63角 同銀 82香成 62玉 72金 同銀 同成香 同玉 83銀 62玉 63銀 71玉 72銀成 まで23手詰

 

2月3日分:63角成 82玉 62飛成 同銀 83桂成 同玉 72銀 84玉 

85銀 同桂 74金 93玉 94歩 同玉 83銀生 93玉 94銀成 同玉 72馬 93玉 83馬 まで21手詰

 

2月4日分:93香 92歩 同香成 同玉 82飛 91玉 81飛成 同玉 

73桂 92玉 82桂成 同玉 74桂 91玉 92歩 同玉 84角

まで17手詰

 

2月5日分:91角 61玉 53桂 同銀 71金 62玉 72金 63玉

73金 同桂 81馬 64玉 76桂 55玉 56金 同玉 57金

65玉 66金 74玉 75金 まで21手詰

 

2月9日分:64桂 81玉 72金 同金寄 同桂成 同金 82銀 同金 

71金 同玉 53馬 62金 同馬 同玉 51銀 63玉 54金 72玉

61角成 同玉 62金 まで21手詰 

 

2月10日分:82飛成 61玉 81龍寄 同銀 62桂成 同金 53桂

同金 62金 まで9手詰

 

2月11日分:72銀 同金 同飛成 同玉 61銀 同玉 51金 同金 

同桂成 同玉 52銀 同玉 53金 61玉 62銀 72玉 63金

まで17手詰

 

2月12日分:61銀 同玉 43桂生 同金右 52銀 同金 同桂成

同玉 63角 42玉 41金 53玉 42銀 同金 54馬 62玉

72角成 52玉 42金 同玉 43金 51玉 73馬 同桂 52銀 

62玉 52金 71玉 72成銀 まで31手詰

 

2月17日分:63銀 同金左 同桂成 同金 81銀 62玉 53銀 

同金 72銀成 63玉 73成銀 52玉 53歩成 同玉 62玉

43玉 53金 32玉 22金 41玉 51銀成 同玉 62成銀

41玉 52成銀 まで25手詰

 

もう一つの準決勝戦

2月17日にマイナビ準決勝戦の一つが開催された。

加藤桃子女流3段vs香川愛生女流4段の一戦。

後手番の香川さんが3間飛車に振った。

むずかしい中盤の攻防でしたが71手目73角と打たれてからは寄せきられてしまった。70手目27飛成がどうだったか、65銀と指し24銀なら66銀で勝負できたのではと思うがよくわかりません。先手は2枚角と3枚の桂で攻め倒したが握り詰として詰将棋の一つもできそうな駒の種類と数ではありました。

ひそかに香川さんを応援していたが残念でした。

 

 振り飛車の将棋しか興味がない私は女流棋界では2強といわれる里見&西山の二人の将棋をいつも注目している。実はもう一人特別な思いをもって注目している人がいる。

それは香川愛生女流4段。YouTube(将棋ウオーズ)を通して、<将棋の楽しさ>を配信し続けていることにある。将棋普及大賞でもあげたいくらいだ。

 2月12日NHK(Eテレ)の将棋フォーカスで藤井猛9段が実にいいことを述べていた。AIを使わない理由を問われて、「将棋を指すうえで楽しいということが大前提で自分の考えた手を指すのは楽しいからですね。AIの手をまねしていても全然面白くないので」。

 将棋に限らず、楽しいと思える心が趣味の世界は長続きするコツです。

少しでも上達(強くなりたい)したいという気持ちも大事ですが楽しさの原点を忘れないことが一番大切です。

 私は指し将棋よりも詰将棋の世界にいる比重がたかいのですが詰将棋を作ったり、解いたりしているときが<楽しい>という思いがあるからこそ今日まで長続きしているのです。

 

今回の詰将棋:25手詰

 

 ケアする惑星(講談社)

 書店で引きつけられるように手にしたのが標記の単行本。

著者は英文学者で上智大学国語学部教授の小川公代さん。

「ケア」とは近年では介護という言葉を思い浮かべるが、ここでは育児もそうであるように「他者のニーズに応える行為」という広い意味でつかわれる。

「惑星」とは宇宙の話しではなく地球(人)という意味でつかわれている。

 

 実はこの本の目次を見て少し驚いたのである。

14章からなる柱に半分近くがヴァージニア・ウルフの本の名が並んでいた。

ヴァージニア・ウルフはとにかく難しい。

私は「評論」と「ある作家の日記」から読み始めた。

モダニズム期の「意識の流れ」の手法を用いた小説はやっかいだ。

短編小説ですら読後何を言いたかったのか分からないこともあった。

そういった作品群をケアの論理で解読してくれたこの本は素晴らしいの一言に尽きる。きっと、神谷美恵子(故人)さんも感嘆していることだろう。

 文学の一つの見方、捉え方として興味を持って手にした本だが実は大切な一つのテーマ(ケアの視点)が全編を流れていることを読み進むうちに知ることになる。そして本書を読破したときには現代社会がかかえる問題提起に遭遇することになる。

 

今回の詰将棋:31手詰(私も負けじと難しい作をと思ったがよく捌ける中編)

 

マイナビ準決勝

西山女王に挑戦を決める第16期マイナビ本戦の準決勝の一局が2月10日に行われた。

甲斐智美女流5段v山根ことみ女流2段の一戦。

先手3間飛車vs後手向い飛車の相振り飛車となった。

下記途中図は昼食休憩に入った時の局面(後手が64手目65歩と指した)。

再開後、後手は相手からの7筋の攻めを犠牲にして69手目9筋の端攻めから猛攻し特に83手目44香から43銀以下攻め倒してしまった(93手で勝ち)。

今回の詰将棋:17手詰