「藤井聡太を撃ち破った男たち」と題して、次の4人の棋士のインタビュー記事が掲載されている。
順に、大橋貴洸四段・上村亘四段・菅井竜也王位・増田康宏六段の4人である。
中でも注目したのは贔屓の引き倒しになりかねない菅井王位である。
彼の話しのポイントは次の四点にしぼられる。
1「若手はコンピューターを研究に使わざるをえない世代です。それだと個性がなくなり、フアンから飽きられてしまう。羽生世代は一手への理解の深みが違う。」
2「30年から50年たっても鑑賞される棋譜というものは、コンピューターが示した手ではなく、人間が編み出した将棋である」
3「私は連勝記録や勝率を評価しません。それよりもタイトル獲得や棋戦優勝の方が価値がある。」
4「詰将棋の計算力は藤井さんの方が私の10倍は速いでしょう。でも、実戦ははるかに複雑で、直感が求められる。どこまで読んでいるかなんて、数値で証明できない。証明できないものを恐れる必要はない」
*2で述べられている後世に残る棋譜の一つと云えば、大野・大山の振り飛車であろう。彼の振り飛車もその類いであろうし、またそうなってほしいと思っている。冒頭で、藤井将棋は好きではないと云いきっているが、100局指しても「振り飛車」が全くない藤井将棋への皮肉に聞こえないこともない。あえて人間くさい手にこだわりを持ち続ける彼の性分が全体的に感じられる内容であった。