ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

SPA & 別冊少年マガジン

週刊SPA5月21日号別冊少年マガジン6月号に渡辺竜王のインタビュー記事と対談記事が掲載されている。

週刊SPAはちょっぴり大人の記事が多い週刊誌である。3月にアサヒ芸能が3週間連続にわたって、羽生vs渡辺の記事が掲載されたことはこのブログでも紹介したところである。このての週刊誌が将棋を真面目に記事にすることは一昔前までは考えられないことであった。載るとすれば、スキャンダルを興味本位に書き立てられるのが関の山であった。そういうことを思えば、将棋がおおっぴらに取り上げられるということは早計ではあるかも知れないがメジャーになりつつあるのではなかろうか。なんとなくそう思う。


もう一方の別冊少年マガジンはネットでも話題になっている竜王の奥さんによる「将棋の渡辺くん」と題するマンガの連載が始まったのである。彗星の如く現れた瞠目の新人作家 伊奈めぐみ と最大限の?紹介がなされている。初回は8ページだったが、人気が出てくれば増ページもかなうだろう。彼女は古くからの詰パラ会員でもあるので物語の展開の中で詰パラの登場も秘かに期待している。なお、絵柄のタッチは「渡辺明ブログ」「妻の小言」に出てくる挿絵の感じに似ている。


実はこの漫画の前頁に竜王vs福本伸行(漫画家)の対談記事が掲載されている。私は以前、カイジという映画を劇場で観たが、当時その原作が劇画とは知らなかった。その原作者が福本氏なのである。勝負師対談と銘打って、将棋と漫画について語り合っている。


週刊SPAの記事について
 4ページあったが2ページは写真である。インタビューの前半は竜王の棋風、羽生さんとの対局、定跡の考え方など一般の将棋フアンならすでに耳目に触れている部分なので、後半でネット社会と竜王の関わり方、今後の予想などを述べている部分を抜粋して紹介しよう。



Q:年下の棋士と指していて、ネット世代だと感じたりしますか?
A:糸谷くんと菅井くんとか、ネット将棋でかなり鍛えた感じだなと。実戦的でいやらしい手を指してくるみたいな。


Q:「GPS将棋」はトップクラスになっている?
A:サンプルが少ないので断言はできませんが、なっていると言わざるをえないと思います。


Q:次に電王戦が開催されたら竜王は出ますか?
A:出たいか出たくないかで言えば、出たくないです。この時代を生きているわけですから、そういう役割を求められたら出ます。


Q:将棋界では、これからプロ棋士とコンピューターはどう共存していきますか?
A:チェスの世界では、コンピューターが人間を超えてもそれほど変わらなかったと言われますが将棋も今まで通りの扱いをしてもらえるのか、厳しくなってくるのか。その辺は歴史が進んでみないと分からないところですね。



少年マガジンの記事について
4ページあったがうち3ページが対談記事である。内容豊富であるが、とくに私が目に付いた部分を紹介します。


福本:竜王は自分の「強さ」はどういうところからきていると思いますか?
渡辺:僕は対局の前に、すべて家で戦略を練っていくんです。将棋界では「将棋はその場で頭を振りしぼって考えるもの」という考え方が支配的だったんですが、僕はそのあたりすごくドライにやっています。家での戦略や研究が及ぶのはせいぜい中盤ぐらいまでで、いずれは想定していなかった局面が現れてしまうのも将棋です。そういう場面でじっくり考えられるようにするためにも、家で考えられる部分は考えてきちゃおうということなんです。


渡辺:将棋界には福本さんの作品が好きな人も多いです。将棋も1対1の勝負ですし、精神の読み合い、裏のかき合いといったあの世界は、すごく似たところがあるんです。
福本:僕の漫画は基本的に最初から最後まで主人公ひとりで闘う。「ただ信じられるのは自分のみ」という。そこが将棋と近いところはあるのかもしれないですね。


福本:奥さんが描いた「将棋の渡辺くん」読ませていただきましたよ。なかなか面白いよね。こうして自分のことを描かれてどうなんですか?
渡辺:ウソや捏造がないと分かってますし、好きなように描いてくれればいいと思っています。
福本:多分、強い理由はそこにもあるんだよね。将棋と関係のないことに頭を使わない。使うべきところがどこか分かっている。