ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

われ敗れたり

 米長永世棋聖が将棋ソフトと対戦してから10日間程しか経過しないと云うのに標題の「われ敗れたり」という本が2月上旬に中央公論新社より発売される。
どうやら勝敗の如何にかかわらず、出版が計画されていたふしが本の内容の柱からして読み取れる。
 さて、本の内容はともかく、初手62玉がどうだったかというテーマがある。孫子の兵法の名言に「彼を知り、己を知れば百戦危うからず」というのがある。つまり、情報を集める大切さが真意で、敵の情報、そして自分自身のことも調べつくした上で「勝てる相手とだけ戦え」と言っているのである。
 だから、62玉という最善手を選択したと云うことになるのだろうが、私は個人的には戦いはまず正攻法で相手にぶつかる。初めから奇襲を狙うのは相手が強すぎてこれしかないと云う場合のみであろう。相撲を見ても然り。かって、「矢倉は純文学」と豪語した人だからこそ、先ずは正を以って渡り合い、そこから勝機を探っていくような戦い方をしてほしかったといまだに思うのである。