今年の詰将棋全国大会での出来事である。会場で、あの話題になった「この詰将棋がすごい!」の本を入手して、あるページを見て思わずのけぞりそうになった。
それは、若いころから良く知っている秋元節三氏が解答者登場として、彼の好きな4局を紹介していた。その一つが、詰パラ平成21年7月号の小学校に出題した深和作の7手詰(下図参照)である。この作品は順列詰であり、秋元氏の言によると、「順列七種駒着手の7手詰は非常に珍しく、大いに騒がれると思っていただけに全く残念だ」と書いてあるではないか。
私はこの作品を見た時に、なんだ、順列詰か。手順も易しいし、客寄せにでもしようかと思って、しかも投稿から半年以上経過してから選題した。あまつさえ、結果稿の解説でも、「順列詰に気付いてくれた方が数名あり、作者も満足でしょう」などと、サラリと、流してしまったのである。つまり、担当者自身がこの作品をさほど評価していなかったことになる。
詰将棋の価値は難易度だけでは、測れないことがあるのは当然である。もし、この作品がその趣向性を最短7手で初めてやってのけたということであれば、そのパイオニア精神にかんがみて、作者の名誉は回復して挙げねばならない。おもちゃ箱のK氏を始め、どなたかご存じないだろうか。
本日の詰将棋:7手詰 パラ21年7月小