詰パラの選題の言葉で、かって私の好きな詰将棋作家は桑原辰雄、山中達雄という二人の「タツ人」が好きであるということを書いたことがある。二人に共通することは一言でいえば「豪腕」である。特に、前者の桑原氏の作品は若い時代の私に多大な影響を与えて、私がこの道に入り込んだ一因にもなった。
桑原氏の作品集は30代に入手した「妙義図式」を皮切りに、「赤城図式」を経て平成6年&7年に発行された「勝つための詰将棋」&「続・勝つための詰将棋」を持っていた。その後も彼は将棋世界や近代将棋で作品発表を続ける一方で20年近くの歳月が経過した。今回(平成26年1月発行)の作品集は私にとっても待望の一冊でもある。
それでは作品集の中身を少し検証してみよう。
<目次>より
初級コース 20問(7〜9手詰)
中級コース 40問(11〜13手詰)
上級コース 30問(15〜17手詰)
チャレンジコース 20問(13〜17手詰)となっている。
上記110問を手数別で再分類してみると、
7手詰10問 9手詰10問 11手詰20問 13手詰24問 15手詰21問 17手詰25問 となる。
解答と解説欄を含めて、出題図においてもその作品がいつ発表されたものかの記載が一切ないのが少しユニークである。個人作品集の出版としては異例で、普通は例えば「将棋世界平成○○年○月号」と記載があるものである。
手数構成と20年ぶりの出版からして将棋世界の詰将棋サロンでの入選作がかなり入っているものと推量している。
<最後に編集後記での作者の言葉を紹介したい。>
盤寿を迎えても今もって相当数の未発表作を整理中の昨今です。「詰将棋の命は初手にあり」。頑固なまでの方針は、実戦的構想と相俟って六十数年の創作を支えた原点です。命ある限り自然体で詰将棋と接していくつもりです。