ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

「無双」「図巧」

 文学作品の場合はそうらしいが、そうでなくとも本に名前を付けるのはむずかしいものだ。詰将棋の本も然り。内容を正確に表現している場合、例えば全作品が合駒とか不成とか曲詰とかであれば、それらしいタイトルを付けやすいものだ。しかし、ほとんどが収録作品の一つ一つがそれぞれの特徴を有している場合は考えどころなのだ。

 私の場合、最初の作品集が「詰将棋の道」次に「詰将棋の道2」「詰将棋の道3」とくる。特に3は金無双作品だったので「金無双百番」と副題をつけた。そもそも「詰将棋の道」とどうして名付けたかというと、銀幕のスター・小林旭に「さすらいの道」というお気に入りの歌があり、そこから発想を得たに過ぎない。

 敬愛する故・桑原辰雄氏の作品集は「妙義図式」「赤城図式」「榛名図式」などと続く。群馬県出身の彼が故郷の山々の名を付けたのだ。こういった「〇〇図式」と聞いただけで作者の名が浮かぶようになりたいものだ。

 さて古くは伊藤宗看・看寿の「無双」「図巧」がある。正式には将棋無双・将棋図巧という。なまじ「詰将棋無双」などと云わないことが正解だった。将棋400年の歴史の中でこの二つの名著は現在でもなお光り輝いている。「無双」「図巧」という呼び名は実にシンプルだ。この2文字を見たり聞いたりしただけで、思わず身が引き締まるときがある。詰将棋マニアとはそういうものなのである。

今回の詰将棋:19手詰

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