ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

詰将棋における歩の妙手性

 詰パラ平成21年9月号の小学校の選題の言葉で、私は好きな詰将棋作家を桑原辰雄氏・山中龍雄氏という二人のタツ人であると紹介した。二人に共通するのは、剛腕というイメージがいまだに強い。
 昭和40年代前半、指し将棋の棋力が初段ぐらいしかないときに、近代将棋詰将棋鑑賞室と同研究室の作品を4年間ほど、全問解くことに集中していた時期があり、そのころに桑原作品にも出会ったのである。
 一方、詰パラ平成22年4月号の小学校で、歩をテーマにした特集を組んだ。その結果稿で、詰将棋における歩打というのは妙手になることはまずないのだが、私にとって、忘れられない思い出の作品として、桑原作「妙義図式」92番(発表誌は近代将棋・昭和44年4月号)を図面ナシで紹介したのである。この妙義図式には二上九段が序文を寄せており、そのなかで桑原氏の歩打王手への熱き思いを的確かつ温かく語っておられる。さて、この作品が彼にとって、はたして歩打がらみのベストの作品なのかどうかは知る由もないが、ここに図面を持って再び紹介し、本日の詰将棋としたい。
本日の詰将棋:23手詰。桑原辰雄氏作