北海道の詰将棋作家である松田圭市氏が標記の詰将棋の本をこの9月に出版した。
詰パラ誌でも、よく存じ上げている方だが作品集を出すといううわさも聞いてなかったので少々驚いている。
作品集そのものをまだ求めていないので、その内容がよく分からない部分(9手詰中心で何題なのか等)があるが、9月17日付のネットでの「詰将棋メモ」に掲載された會場健大氏の推薦文が実に良くできている。
まず、北海道を代表する数多いる作家群とは少し異色の存在だと彼を紹介している。
次に、彼の詰将棋の魅力はおおらかさにあると述べている。普通、この言葉はどうでもいいような作品をなんとかほめてあげたい時に用いる表現の一種みたいなものだ。当然、作品の質そのものを想定した表現ではなく、作品の中を流れる時間のおおらかさであるとのべて、子供心の好奇心みたいなものを楽しんでほしいと云っている。
次に、「すなどけい」というタイトルのことだが、作者とともにこのタイトルを考えたとしたら、実に素直に表現できている。そうではなくて、作者自身がタイトルを決めたということであれば、逆の意味で作者の意を汲み取ったところの素晴らしい内容である。
最後に、本書をタイムトライアルの道具に使ってほしくないと述べている。9手詰が主体の作品ならば詰将棋を解いて楽しむ人にとって、そういう風に利用しかねないところである。砂が全部落ちたら、またひっくり返せばいいように、一つ一つの作品をじっくり鑑賞してほしいと望んでいる。まさに「すなどけい」というタイトルの所以ここにありという感じである。
ところでこの推薦文は本書のまえがき部分にでも挿入されているのであろうか。もし、そうでなくて、ネットでの一過性の推薦文だとしたら、実に惜しい気がする。
本日の詰将棋:13手詰