ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

詰将棋全国大会

 第33回詰将棋全国大会が名古屋市愛知県産業労働センター)で7月16日に開催された。
この大会に私は既に二桁の参加回数になるが、今回がこれまでの中では一番の参加者数ではないかと思い、150ぐらいいくのかなと予想していたら結果的に133名とのことであった。
 それには確たる理由があった。詰将棋の普及・発展に貢献された方におくられる「門脇芳雄賞」に今年度は宮田敦史六段と藤井聡太四段が選出されていたことにある。報道関係の取材も例年より多かった。ついでに、今回参加されたプロ棋士はほかには、谷川浩司九段、北浜健介八段、船江恒平六段でした。


 大会一部では、看寿賞、門脇賞、七条賞、10回及び25回通算参加回数となった人の表彰などがメインである。
 うち、門脇賞は歴史がまだ浅い。平成23年に新設されたこの賞は今回が第6回目となる。過去に選出が見送られた年もあるが単年度ではなく継続して貢献されてきた人が評価されてきた経緯があり、いわゆる縁の下の力持ち的活躍が光っていた。個人的には評価されて然るべき人はまだいると思っている。今回のプロ棋士2名の授与には十分納得できるものではあるものの、一気にステータスがあがって看寿賞みたいにどこか遠くにいってしまったような感じがしないでもない。詰将棋界の底辺ともいえる部分で地道に活動を続ける人に温かいまなざしを向けられていた故・門脇氏の精神を大切にしつつ、この賞を継続していただきたいものである。


 次に、通算10回参加を達成された山田さんの表彰時における一言コメントがとりわけ印象深かった。
山田:「今朝テレビをつけたら、作家の朝吹真理子さんがでていて、短歌や俳句は代表作を携帯することができるという話をされていて、詰将棋もまさにそうだなと思いました。」
 彼が見た番組は毎週日曜日の朝6時35分から始まるNHK・Eテレの<NHK俳句>だろう。
詰将棋作家はどんな作品を作られますかと問われたら、誰でも1,2作は即座に示すことができるだろう。私も現役の時に名刺に刷り込んで、仕事がら初対面の相手によく覚えてもらったものである。
芥川賞作家の朝吹さんは将棋にも理解が深い。
いつの日か、名人戦の観戦記を書かれたことがあり、その文章の素晴らしさに思わずうなったものである。そのときの新聞切り抜きは大切に保存している。


 大会二部では恒例の「詰将棋解答競争」と余興として「クイズ百人に聞きましたみたいな」ものがおこなわれた。
 解答競争では予想通り藤井四段が優勝した。取材に来られた報道関係者もきた甲斐があったというものである。後者の余興の中で、クイズ項目の一つに「指し将棋が強そうな詰将棋作家は?」というのがあり、私の名前が一票入っていたのには驚いた。九州から来ている仲間に聞いたが心当たりがない。これは懇親会会場で当事者が話しかけてきてくれたので判明した。ささいなことでも後々モヤモヤ感が残ることもあるので分かってよかった。懇親会の場で「握り詰」作者あてクイズで記念品をもらいました。今年の大会は参加者数も多く、時の人:藤井四段も来場してくれて、参加者にとっては思い出に残る大会の一つとなったに違いない。
[