ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

スーパーあつし君

 将棋世界の連載物に「感想戦後の感想」というのがあるが、この9月号で宮田敦史六段が登場した。

 詰将棋を解く能力に優れるなど、終盤の読みの正確さで、「スーパーあつし君」のニックネームで呼ばれ出したのは奨励会時代の頃からと思われるが、詰将棋界で注目され始めたのは月刊誌・詰将棋パラダイスを1日で解いてしまう人がいるようだ。それも、驚くべき時間でとか、その類いの噂がよく立っていた頃からである。
 それを決定的にしたのが平成16年から始まった詰将棋解答選手権のチャンピオン戦で3連覇したことである。
 その時期からスーパーあつし君は我々の世界では文字通りスーパースターとなったのである。

 彼は小学2年生の時に、将棋を覚え、4年生のときのエピソードが紹介されている。将棋を覚えたてのころから、詰将棋を解くことが好きなだけでなく、自分でも作った。4年生の夏休みに、自由選択の宿題で詰将棋を20題作って提出したらしい。将来の物書きが夏休みの宿題に読書感想文でほめられたというよくあるような話しではなく、誠にユニークな出来事である。もらった先生も、将棋を詳しく理解していないとしたら恐らく面食らったにちがいない。

 宮田六段の同年代の某棋士の言葉として、「宮田さんは、典型的な追い込み型です。とにかく終盤の読みが深い。終盤が強いというのは、すごい信用なんですよ。序盤がうまいなんていわれても、誰も怖がりませんからね」というようなコメントがある。プロの世界ではVSとか研究会が盛んだが、その成果がある程度明確化できるのは序盤・中盤あたりまでだろう。将棋の終盤こそ、独特の領域でそれこそ個性が十分発揮できるというか、発揮しなければならない。将棋の魅力も実はそこにあり、終盤まで画一化されては面白くないし、ゲームとしての魅力もたちどころに無くなってしまうだろう。
 
 彼にとって、少し不運だったのは平成16年の秋に体調をくずしたり、平成18年12月から平成20年3月まで休場を余儀なくされたことである。復調なった現在、棋士という職業を選択した以上はまずはA級八段を目指し頑張っていただきたいものである。

本日の詰将棋:11手詰