ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

あるアマ指導者の功績

 今年の1月2日、佐世保のアマ将棋指導者の川原潤一氏が逝った。涙を誘う深浦九段の弔辞とともに、数少ない関係者でお見送りをした。川原氏は将棋クラブを経営しながら、数多くの子供たちの指導育成に情熱を注がれてきた。私にとっては、詰将棋の件では長崎県内で数少ない話しが通じる方であった。
 昨年3月に、毎日コミュニケーションズより、深浦九段著「プロへの道」が出版された。この本の序文で深浦九段が、抜粋ではあるがこう述べられている。「奨励会まで、私の成長を客観的に見てくださった人がいます。名前は、川原潤一さん。地元長崎県佐世保市で[大宮将棋倶楽部]の席主をしています。将棋を強くなれたのはこの方のおかげです。川原さんは子供たちの成長の記録を佐世保支部が発行した機関誌[棋楽]に[藍より青く]で書かれました。その中には私も登場しています。・・・以下略」
 平成16年秋に、私は「詰将棋の道」という自作詰将棋自費出版した。その本を川原氏に謹呈した時、彼の著作「藍より青く」とともに、便せん2枚に認められた礼状をいただいた。この手紙で、抜粋ではあるがこう述べられている。「力作をお送りくださってありがとうございます。及ばずながら、解かせていただきます。お互い立場こそ違え、将棋に時間を人生の何分の一かは費やしましたね。また、これからも将棋に使うでしょう。私は生徒には詰将棋を毎日解けと言っています。・・・同封の「藍より青く」をお読みください。深浦の少年から18歳、四段へ昇段するまでの道のりを書きました。・・・以下略」
 詰将棋を愛する詰キストは、云わば「時喰う虫」と同居しているようなものです。だからこそ、彼のこの手紙の言葉には思わず、グッとくるものがあり、それまでのことがなにか少しは救われたというか、報われた思いがしたものです。
 私にとって、佐世保市は同じ長崎県内にあっても、年に1回行くか行かないかの距離空間にあります。今週末は「YOSAKOIさせぼ祭り」があります。久しぶりに訪れてみたいと思います。賑わいの街の中で、ふと空を見上げると川原さんが爽やかな秋風にのって、(よく来たね)とささやいてくださる気がしてなりません。
本日の詰将棋:3手詰