ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

行動経済学と将棋

 昨今、行動経済学が注目されている。書店のビジネス棚をみると関連図書がいまだに散見されるのでブームは続いているのかもしれない。

 行動経済学とは一口でいうと心理学を加味した経済学ということになる。

 さて、将棋においては<先手と後手ではどちらが有利なのか>というテーマがある。公式記録では先手の勝率が53%程度とわずかに高い実績がある。これは先手を持つと作戦の幅が後手よりもやや広いので先手をもって指したいとほとんどの棋士が思っている。先後いずれになるかの確率は公平だという理屈になっているが、これもどうやら振り駒では先手が出る確率が53%という統計がある。

 この先手後手の決め方・受け止め方を行動経済学の観点からみるとこうなる。先手になりたいと振り駒の様子を念じていると得てして後手番になったりするものだ。その思いが強いほどそうならなかったら残念な思いも強くなる。どっちでもいいかとほどよく合理的であり確率に振り回されてしまわないことが大切だ。あくまで受動的な意思決定の理想的な在り方だと私は思っている。こういう考え方は行動経済学でいう「プロスペクト理論」で説明がつくような感じがする。

 ともあれ、先手・後手いずれであっても実力あるものが最終的に勝つのが将棋の世界である。

 

今回の詰将棋:11手詰