ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

裏芸の達人はやむごとなきものなり

 8月17日は女流王座戦準々決勝第3局がおこなわれた。先手・藤井奈々女流初段vs後手・伊藤沙恵女流3段の一戦。振り飛車党の藤井さんに対して居飛車党の伊藤さんが裏芸の相振り飛車をぶつけるかどうかがまず注目だがそれに応えてくれるところが彼女のえらいところだ。途中図は昼食休憩に入った局面である。50手目後手が24銀と援軍を繰り出した局面である。

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  序盤早々後手からの端攻めを防ぎつつ、先手は金銀をひきつれて玉との集団で盛り上がりながら受けていたという感じだ。その間、後手は2枚の「と金」を巧みに作る。100手目に後手は24角と出てから一気に局面がほぐれだした。「捌けば捌かれる」の言葉通り、お互いに適当な攻め駒が駒台にのり、新たな油断ならない局面を迎える。112手目56歩以下終盤に突入。49角から76角成と飛車を取った形が「詰めろ」とあっては勝負あった(134手で後手勝ち)。この将棋は藤井さんのねばり強い受けが印象に残る。後手の勝利は相振りの経験値が活きたからかもしれない。

今回の詰将棋:15手詰

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