ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

三間飛車名局集

 将棋戦型別名局集として、「三間飛車名局集」が先ごろ発売された。
穴熊」、「四間飛車」、「矢倉」に続いてのシリーズ第4番目の出版である。
5月6日付の当ブログで大野流振り飛車のことを掲載したので、この本のことに若干触れてみたい。


 収録された棋譜は100番である。巻末には棋士棋譜索引がある。
この索引には対局した棋士のどちらが飛車を振ったかが太字で表記されているのが親切な工夫である。
三間飛車を指した棋士(勝ち負けを問わず)のベスト5をとってみると次のようになる。

1 大山康晴名人 22局
2 升田幸三9段 12局
3 大野源一9段  6局
4 久保利明9段、鈴木大介8段、中田功7段が各5局

 関西の木見門下の升田・大野・大山で全体の4割を占めており、戦後第1期ともいえる振り飛車黄金時代を象徴する3棋士が登場しているのは十分納得できることである。欲を言えば、大野さんの棋譜をもう少し取り上げても良かったのではと思う(なんといっても3間飛車の名手だったのだから)。

 この本で私が一番残念に思うのは三間飛車側の敗局棋譜が23局もあることである。振り飛車フアンとしてはやはり棋譜並べをする時には勝局棋譜を並べるのが気分が良いものである。だから、23という数字は少し多いのではないかと率直に思う。然しながら、そこのところは、振り飛車の捌きを上まわった居飛車側の妙手も味わってほしいとの編集者の方針だろうし、勝局集ではなくて名局集とうたっている所以でもあろう。


 さて、このシリーズは続編として「中飛車名局集」と「相振り飛車名局集」の出版を切に望む。
特に、相振りについては昭和58年3月に「力戦!相振り飛車の戦い」(100番)が出版されて以来、この種の本はない。30年以上、経過する中で進化し続ける相振り飛車棋譜は新たに100番を選定するにも苦労するほど棋譜量も多い。これが出版を望む最大の理由である。