「棋泉」という棋譜管理ソフトがあり、これに2000局余の相振り棋譜を保存している。
相振りにおけるいろんなデータを確認したくて手数が100手までの棋譜で調べることにした。100手までで671局あった。全体数からみるとほぼ3分の1である。
完璧ではないがあらかた似たような傾向は確認できるものと思う。
<最初にどの位置に飛車を振るのか>
3間飛車→640 向い飛車→382 4間飛車→194 中飛車→126
あくまで最初の飛車の位置であって、対抗型と同じようにその筋にじっとしているわけではない。私は中飛車を目指したとき相手に3間に振られたらさっさと向い飛車か3間飛車に振り直すことにしている。相振りは縦の戦い。先手からみて相手玉が7筋・8筋にいることが多いのでそちらへ廻るのが合理的だと思っている。
<どの組み合わせが多いのか>
向い飛車 vs 3間飛車 → 135
3間飛車 vs 向い飛車 → 130
3間飛車 vs 3間飛車 → 110
以上3つの組み合わせが100局を超えるベスト3となる。
<どんな囲いの組み合わせが多いのか>
美濃 vs その他 → 120局
金無双 vs 美濃 → 105局
金無双 vs 金無双 → 82局
美濃 vs 美濃 → 79局
昭和50年代頃までは金無双が主流であったが現在は美濃囲いがこれを上回る勢いである。なお、「その他」とは矢倉、穴熊、銀冠、金美濃などを指す。
<どんな棋士が相振りを指すのか>
藤井猛九段 51局
久保利明九段 40局
内藤國雄九段 18局
戸辺誠七段 14局
藤井九段と久保九段がダントツの双璧である。私にとって相振りの水先案内人であった内藤九段が3位に入っている。戸辺七段はこれからも数多くの相振り実戦棋譜を積み上げてくれることだろう。
昭和50年代に活躍した次のような棋士たちが今回10局近く顔出ししている。
豪快だった佐藤大五郎九段、振り穴の大内延介九段、ダルマ流の森安秀光九段、相振りもうまかった山口千嶺八段、攻め十五段の北村昌男九段などである。あの当時の金無双同志の攻防戦の数々が私は一番好きだ。いまだにその棋譜並べにワクワクする。そしてそのことは私の詰将棋創作における金無双作品の原動力になってくれていることは確かなことだろう。
今回の詰将棋:19手詰