ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

うれしい誤算、驚きの振り飛車

 棋王戦における渡辺棋王振り飛車のことである。
昨年春の名人戦以来、タイトル戦の数々は振り飛車を期待させるものは少なかった。
以前は、現地の前夜祭や大盤解説会へとよく旅したものであるが、今期は皆無に近い。


 渡辺棋王振り飛車は以前もよく息抜きみたいに披露されることはあったが、まさかこの番勝負で展開されるとは思わなかった。1勝1敗の後を受けての第3局、ちょっとした遊び心が作用したとすれば一流棋士の証左でもあろう。
もし、振り飛車戦になることが分かっていれば私は新潟市に飛んでいたに違いない。それほど、タイトル戦における振り飛車の戦いに飢えているのである。


 さて、将棋はごきげん中飛車の出だしから互いに囲いが穴熊となった。
82手目後手番渡辺棋王が56角を着手したあたりは飛車損であり(ほどなく、ト金で金を取り返せるとはいえ)とても攻め切る自信は私にはない。さらに93手目先手佐藤八段が67銀と凌いだあたりはどう攻めを継続したらよいのか、動揺してしまいそうである。しかしながら、渡辺棋王はもともと細かい攻めをつないでいくのが上手い棋士である。その特徴を如何なく発揮してくれた。棋譜を並べてみるとよくわかる。なにはともあれ、振り飛車を選択してくれた渡辺棋王が負けないことがなによりも良かった。負けると、振り飛車の選択がますます遠ざかるからである。


 来週は王将戦第5局が尼崎市である。棋王戦の連鎖反応で羽生さんが振り飛車でも指してくれないかなと思ったりしている。たまたま、大阪に滞在予定であるので二日目の大盤解説会でも(振り飛車戦に万が一、なったら)のぞいてみようかと思っている。そうならなかったら、大相撲3月場所へ行く予定である。