ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

私の桜の名所

 

その土地、それぞれに人口に膾炙された桜の名所があるものだが、人は時として自分自身の心ひかれる桜を持っている場合もまれにある。

 長崎市の北部に本格的に居住するようになって10年。長崎市の中心部へ向かう途中の住吉町界隈の裏通りにその場所はある。

 JR西浦上駅から赤迫(市電の終点地)までの僅か500メートルほどのJR線路伝いの土手にある桜並木である。上部に伸びることを拒否された反動からか、幅員5メートルほどの川に向かって大きく枝を伸ばしている。(上の写真はJR西浦上駅近くから北を見る。下の写真の青い車体は長与方面へ行くJR電車)

 4月生まれのせいか、桜の花への思い入れは人一倍強い。今は亡き母親に手を引かれて行った小学校の入学式。校庭で満開の桜が迎えてくれたことを昨日のことのように今でも鮮明に覚えている。おそらく、花の美しさに感動するだけでなく感動する心を持って、これからの人生を歩んで行くんだということを生まれて初めて学んだからであろう。

 桜といえばすぐ思い浮かべるのが西行法師の和歌である。「花に染む心のいかで残りけむ捨てはててきと思う我が身に」
 古来より、桜を題材にした短歌は沢山ある。西行自身も数多く桜を詠んでいるが、とりわけ好きな歌であり、西行という詠み人は私の魂をゆさぶる歌人の一人なのである。