ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

第16期マイナビ女子オープン戦より

9月2日、標記の本戦1回戦より佐々木海法女流1級vs山根ことみ女流2段の一戦が行われた。

佐々木さんは森門下の第5番目の女流棋士である(昨年12月女流棋士となる)。

名前は海法を(みのり)と読み、3間飛車が得意らしい。

この棋戦では姉弟子・室谷さんを破っての本戦入りだった。

振り飛車党が増えるのは楽しみであり、今後の活躍に期待したい。

さて、図は先手・佐々木さんが59手目77桂と跳ねて昼食休憩に入った局面である。

囲いは互いに金無双で相振りとしては実にオーソドックスな戦いぶりである。

再開後、後手・山根さんは55歩と突き捨ててから74金と積極的な動きを見せた。

その後、後手の攻め、先手の受けという推移で進行した。先手玉は中段玉まで引っ張り出されたがこれが寄りそうでなかなか寄らない形に見えたが、後手はやや打ちにくい45角(108手目)や決め手となった87銀(110手目)を経て中段玉を討ち取った。勝った山根さんはベスト8へ進出した。

 

今回の詰将棋:19手詰

 

詰将棋の解答(8月ブログ分)

8月1日分:54角 71玉 83桂 同銀 81角成 同玉 83飛成 82飛 

 93桂 同香 92角 71玉 82龍 同玉 83銀 71玉 81角成 同玉 

 82飛 71玉 63桂生 まで21手詰 

 

8月3日分:63銀 81玉 72金 同金 同銀成 同玉 63角 62玉 72金

 51玉 52角成 同玉 54龍 53金 43金 51玉 53龍 同馬 63桂

 同馬 42金打 まで21手詰

 

8月13日分:13歩 21玉 33桂打 31玉 41金 22玉 12歩成 

 同玉 21角 11玉 12歩 22玉 32角成 同玉 31金打 22玉 

 21桂成 12玉 22成桂 同玉 33歩成 11玉 12歩 同玉 13歩

 11玉 22と 同玉 33馬 まで29手詰

 

8月23日分:63桂 同金右 82銀 同玉 83銀 71玉 81と 61玉 72銀成 同玉 71金 まで11手詰

 

8月27日:24竜 同玉 13角 同金 34金 まで5手詰

白玲戦第1局

 第2期白玲戦7番勝負が8月27日に開幕した。

女流タイトル戦では5番勝負が多い中、昨年誕生したこの棋戦は西山女王が4タテで初代・白玲についた。

そして、今回挑戦者に迎えたのが里見香奈女流5冠。

今や、女流棋界のビッグカードである。

願わくば、「相振りシリーズ」の7番勝負までみせていただきたいものである。

 

さて、第1局は先手里見5冠が中飛車、後手西山白玲が3間飛車で始まった。

指し手は後手ペースで進行していたように見えたが、先手も早々に端をつめた権利を活かして端攻めにアヤを求めた。そこから形勢が混沌としてきたように感じた。

その後激しい攻防の末、127手で先手里見5冠が勝利した。

後手としてはどこかで決め手をのがしての逆転負けの思いが強いにちがいない。

戦いは始まったばかり。二人の長い熱い戦いに期待したい。

 

今回の詰将棋:5手詰

 

驚きの一手

 2022年8月23日第30期倉敷藤花決勝トーナメント戦での出来事だ。

山根ことみ女流2段vs香川愛生女流4段戦で戦型は振り飛車フアン納得の相振り飛車の出だしとなった。

図は先手山根さんが21手目48金と指したところ。

次に後手の香川さんの指し手が正に「驚きの一手」となった。

なんと、82飛と戻しそのまま指し続けたのである。

これは「驚きの一手」というよりも、振り飛車フアンを裏切るような一手で且つ落胆そのものである(戻る必然性に乏しく3間飛車の捌きを見たかった)。

 香川さんと云えばネット(ウオーズ)では多彩な将棋を披露されており、いつも楽しみに拝見している。それだけに至極残念である。

今回の詰将棋:11手詰

 

振り飛車年鑑より

 2021年12月に「令和3年版振り飛車年鑑」という本が出版された。

振り飛車フアンとしては正に望外の喜びであった。

今年はこの本が年度版として「令和4年版・・・」が出版されるかどうかとても注目している。もし、それが一過性でなかったということになれば「将棋年鑑」をあえて求める必要がなくなるからだ。

 

 さて、棋譜並べをしているとき、まれにその終盤をヒントに詰将棋を創作できるときがある。

 標記の本(192ページ)の高崎6段vs瀬川6段の一戦より実にスムーズに作品化できた。無駄な駒を排除し、歩の枚数を調整しつつ余詰消しに52金を配置しただけで実戦の手順をほぼ作意にした詰将棋が出来上がった。こういう創作過程はまれで極めて珍しい。下段の図がその作品である。

今回の詰将棋:29手詰

 

合作ブーム到来

詰将棋パラダイス誌の読者である。

近頃、当誌では合作の作品がよく散見される。

個人的には大変憂うべきことだと思います。

火付け役は若島正氏の一連の合作が影響しているのであろうか。

しかし、彼の場合は特別の事情が存在する。

 

詰パラ8月号をみて、ここまで来たかの思いだ。

合作特集のコーナーまで出現した。

小学校の結果稿では3人の合作経緯には思わずのけぞりそうになった。

 

ある詰将棋の会合があったとする。

Aさんは課題作を作って参加する。

Bさんがここはこうすればもっとよくなると提言する。

それには余詰があったのでCさんがうまく修正する。

かくしてABC3人の合作として投稿する。

実はこれと似通ったことが起きているのではないか。

 

詰パラの「読者サロン」にでも問題提起しようかと思った。

どうせ「老いの繰り言」として片づけられるだろう。

こんな感想を持つのはきっと私だけなのだろう。

詰将棋界の新しい流れとあきらめている。

 

今回の詰将棋:21手詰

 

 

 

中飛車左穴熊

 私は振り飛車党で「中飛車」も好んでよく指す。

しかし、「中飛車穴熊」だけは指したことは一度もない。

また、指してみたいと思ったことすらない。

 この戦法は中飛車を目指したところ、相手に飛車を振られたときに、時折出現する戦法である。棋譜が棋書に掲載されるときに「相振り飛車」に分類されることが甚だ不満なのである。

 なんといってもこの戦法は振り飛車らしい指し回しがあまり見受けられない。

左側の金銀桂などが振り飛車独特の動きをしないからだ。最悪、その飛車が居飛車に戻ったりすることもある。こうなっては小馬鹿にされてるみたいだ。

 相矢倉戦法で飛車が5筋にまわり「矢倉中飛車」と表現することがある。

これを「振り飛車」になったとは決して云わない。それと同じようにこの戦法は「振り飛車」に分類すべきものではないと思っている。

 7月24日のNHK杯戦、7月30日のJT杯でいずれも相中飛車となり後手が玉を左側に囲う指し方があったので、常々思っていることを書いてみました。

今回の詰将棋:21手詰