ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

相振り飛車名局集の『囲い方』分析

 相振り飛車というものをその時代、時代の状況や旬の棋士にスポットをあてて分類し時系列的に選題編集したことは高く評価できる。

 惜しむらくは相振り飛車における誰が一番多く指しているのか、誰と誰の対局が多いのか、誰の勝率が一番高いのかを始め、あるいは玉の囲い方はどうなってきたのか等の分析データが一切なかったことである。

 そこで、自ら1回目の棋譜並べをしながら囲い方の統計をとってみた。

なお、金無双、美濃が主力になりながら「その他」は穴熊、矢倉等のこと。

 

金無双vs金無双 8局   金無双vs美濃 17局

金無双vsその他 16局  美濃vs美濃 11局 

美濃vsその他  29局  その他vsその他 19局

 

昭和58年発行の「力戦 相振り飛車の戦い」では

金無双同士が40局 金無双vs美濃が15局 金無双vsその他が25局

このように百番中、80局が金無双がらみであったことからすると

現代は金無双と美濃が拮抗しているといえる。

このように囲い方一つをとってみても相振り飛車の歴史には流れがある。

指し方そのものにも未知の部分が多い点が私の相振り飛車好きとなっている。

今回の詰将棋:21手詰

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詰将棋の解答(11月ブログ分)

11月16日*63金 同金上 61銀 同玉 52銀 71玉 72歩 同玉 63銀成 同金 同香成 同玉 64金 72玉 63金打 71玉 72歩 61玉 52馬 19手詰

 

11月18日*71角 同玉 62香成 同玉 53角 同金 54桂 71玉 72銀 同銀 同歩成 同玉 73金 81玉 72銀 92玉 83金 まで17手詰

 

11月21日*71角 同玉 83桂 82玉 71角 92玉 91桂成 同玉 82金 同銀 同角成 同玉 62龍 72飛 71銀 93玉 92金 同飛 同龍 同玉 72飛 83玉 82飛成 まで23手詰

 

11月24日*71銀 同金引 同桂成 同玉 61飛成 82玉 52龍 72金 71銀 91玉 82金 同金 同龍 同角 同銀成 同玉 71角 同玉 72金  同銀 62金 82玉 72金 同玉 52飛 73玉 62飛成 83玉 72銀 82玉 71銀生 83玉 82龍 まで33手詰

相振り飛車名局集

待った。出た。ようやく出た。

振り飛車の実戦集が出た。

実は一度過去に出たことがある。

書名は『力戦 相振り飛車の戦い』(百番収録)。

昭和58年出版だから実に38年ぶりだ。

だから待望の一冊なのだ。

あのころから相振りを取り巻く状況はあまり変わっていない。

年間の出現頻度も低いマイナーな戦法なのだ。

手詰まりになりやすい、定跡が確立しにくく手将棋になりやすいなどで振り飛車党の男性棋士が敬遠しがちなのだ。振り飛車党同士の対戦なら本来なら相振りになるのが自然の流れだ。振り飛車党の意地を通してくれないからだ。そこへいくと女流棋界はすこし違う。その意地をなんがなんでも通してしまう。女の意地の素晴らしさだ。

女流棋界が発展した現在は「相振りの総局数」はいまや男性の世界よりは早晩、上回るのではないかと思っている。

なかんずく、定跡がはっきりしないからこそ「相振りの棋理」を究めてくれることがプロ棋士の使命の一つだと思っているが、所詮アマチュアの遠吠えなのだろう。

今回の詰将棋:33手詰

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アベマ&倉敷藤花

11月20日女流のアベマトーナメントが行われた。

準決勝第1試合、里見チーム対西山チームの対戦。

9回戦までもつれた大熱戦だった。

何といっても全局振り飛車戦(うち相振り2局)が素晴らしい。

そして最終局で里見4冠vs西山3冠の対戦という最高の演出となった。

雌雄を決するこの将棋は相振り飛車の激戦となり157手で西山3冠が勝利した。

 

ところで11月20日と21日は倉敷籐花の第2・3局が行われた。

里見4冠が加藤清麗の挑戦を2勝1敗で退けた。

この二人はこの秋、清麗戦・倉敷籐花のタイトル戦を競った。

一時は里見さんが13連勝するなど2人の対戦成績はダブルスコア―以上だった。

しかし、今回のシリーズを契機に様変わりの様相を呈してきた。

加藤さんが苦手意識を払拭したのかそれとも棋力の充実ぶりなのか。

おそらく後者の要因が大きいと思う。

2強に食い込むことができるのか今後の加藤さんの将棋にも注目していきたい。

今回の詰将棋:23手詰

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4→5→4

11月17日第3期清麗戦第5局がおこなわれた。

この番勝負は挑戦者の加藤桃子女流3段が最初2番棒に勝っていた。

カド番に追い込まれた里見清麗は2つ返して最終局を迎えた。

先手の里見さんは得意の55歩位取り中飛車の作戦を採る。

囲いの美濃の銀が締まらないままに中盤戦へ突入した。

以後どうも先手一手遅れているような指し手が続いたように感じた。

勝負は134手で後手の勝ち。新清麗の誕生である。

里見さんはせっかく5冠になったのに4冠へ逆戻りとなった。

里見・西山ばかりではなく、女流棋界のためには活性化になってよいと思う。

それでも女流の番勝負はほぼ振り飛車戦になるのは変わらないだろう。

 

ところで、近々マイナビより「相振り飛車名局集」の本が出版されるのを楽しみにしているが、加えて「令和3年版 振り飛車年鑑 2021」が12月下旬に出版されるとの情報を得た。ちょっとしたクリスマスプレゼントになりそうだ。

将棋の本を買うのはアマの将棋フアンであり、振り飛車好きが多いという需要に応えたという証左でもあるのだろう。

アマの振り飛車フアンを見捨てていないということが分かり、マイナビさんには本当に感謝したい。

年度版ということなので次年度以降も是非継続してほしいものである。

今回の詰将棋:17手詰

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再びの相振り

11月15日第11期女流王座戦第2局がおこなわれた。

先の女流王将戦ではこの二人、4冠対4冠の対決だったが里見4冠がそのタイトルを奪取して5冠対3冠の対決構図となった。

 

ところで、11月13日のアベマトーナメントでは西山チームと渡部チームの対戦だった。当初、西山チームが楽に勝利するのではと思っていたが意外にも8局までもつれた。これは渡部チームの中井さんの健闘と内山さんが一本入れたことが大きかった。このチームは誰も飛車を振らないので相振り飛車はないのだが、8局全部が振り飛車の対抗型だったのでそれはそれで十分に楽しめた。

 

さて、女流王座戦の方は期待通りの相振りで3間飛車vs向い飛車で始まったが後手・里見さんが54手目74金と上がったところが途中図である。

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これに対して先手・西山さんは85歩と押さえたが後手はこれに同桂と応じて、以下激しい攻め合いとなり終盤へともつれ込んだ。勝負は90手で後手が制した。後手が74手目に美濃の銀を81銀と引いた手が特に印象に残った。

これで西山女流王座がカド番となったが、二人の相振りを一局でも多く見たいので次局はなんとか西山さんに踏ん張ってほしいものである。

今回の詰将棋:19手詰

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詰将棋の解答(10月ブログ分)

10月9日*82飛 51玉 42角 同金 62銀 52玉 73銀成 41玉 42飛成 同玉 34桂 52玉 42金 61玉 72成銀まで15手詰

 

10月10日*72金 51玉 62金 同玉 72歩成 同玉 81角 83玉 92角成 同玉 82馬 同玉 73金 91玉 82銀 92玉 84桂 同金 93桂成 まで19手詰

 

10月11日*83角 72飛 51金 同金 同桂成 同玉 42銀 61玉 72角成 同玉 84桂 83玉 74銀 同玉 75金 83玉 82角成 同玉 92飛 83玉 74銀 94玉 85金 まで23手詰

 

10月20日*62と 同銀 84桂 同歩 62龍 同玉 51銀 72玉 61馬 同玉 62金 まで11手詰

 

10月24日*73銀 同桂 81角 同玉 82歩 72玉 81角 83玉 92角成 72玉 81馬 83玉 92銀生 まで13手詰