ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

女流王将戦より

 第43期女流王将戦の本戦トーナメントが進行中だ。7月17日に行われた先手・伊藤沙恵女流3段vs後手・石本さくら女流2段の一戦が相振りとなった。

 伊藤さんの将棋は相手が振り飛車党だったら相振りにしようとする気配がよく感じられる。本局でも相手が振ったのを確認して自分が振るという独特の指し回しだ。

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 図は後手石本さんが70手目に飛車を切り猛攻を開始した。80手目に45銀打とやや細い攻めをつないだが先手はこれに対して64桂がうまい切り返しだった。以下、先手に手番がまわってからは無難に寄せて113手で先手が勝った。

今回の詰将棋:19手詰

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西山快進撃

7月16日に行われた朝日杯一次予選が行われ西山朋佳女流3冠が登場した。

1回戦で中座真7段を中飛車で破り、次に黒沢怜生6段と対戦した。黒沢6段が振り飛車党なので自然と相振りとなった。

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 図は後手黒沢6段が2筋の歩をきり26飛とした手に対して先手西山女流3冠が27歩と受けた手に対して後手が45角(76手目)と打った局面である。一瞬ドキリとする手であるが互いに飛を取る手を選択した。4枚の金銀がそれぞれ不安定な位置にいるなか、互いに飛を敵陣に打ち合う寄せ合いに突入したが先手が129手で制した。お見事である。女流の棋士は相振りをうまく指しこなす人が多い。女流の相振り実戦棋譜を参考にすることがあるという藤井猛9段の評価にもあるように女流棋界は振り飛車戦が大きな魅力となっている。

今回の詰将棋:21手詰

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C2順位戦より

7月15日は朝日杯、銀河戦順位戦などの対局が行われた。順位戦より、先手山本博志4段vs後手近藤正和7段の一戦が相振りとなった。

互いに初手は78飛、32飛といきなり飛車を振り合うまるでアマの将棋のような出だしだ。

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途中図は39手目56歩と互いに銀の取り合いを目指したがここで後手66銀と指し、同歩に65歩と指したのがうまい手だった。以下、主導権を握ったようだが、後手49手目に飛と角あたりに67金と打った手に対して先手は飛を見捨てて11角成としたのが勝負手だった。終盤に後手の猛攻を一瞬かわして態を入れ替え79手で先手が勝利した。

今回の詰将棋:17手詰

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朝日杯一次予選より

7月15日行われた第15回朝日杯予選より、先手窪田義行7段vs後手藤井猛9段の一戦が相振りとなった。出現するときは続くものである。

 藤井9段といえば相振り御三家(久保9段・鈴木9段とともに)の一員である。一時はこの3人の相振り棋譜を真剣に収集したものである。

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この将棋は相4間飛車で始まった。途中図は先手窪田7段が35手目56銀と上がったところである。互いに角がにらみ合っているのでこれより本格的な戦いとなった。

局面全体が動き始めた。こういう将棋は面白いものだ。後手は一時、玉が5,6筋の中段に引っ張り出されたがなんとか元の位置に逃げ戻る。終盤、後手からの37角と96角が光った。108手で後手藤井9段の勝ちとなった。

今回の詰将棋:15手詰 

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久々の相振り

 相振りの好局がなかなか出現しないのでブログの更新もままならないでいた。

7月14に第15回朝日杯の一次予選がおこなわれて里見香奈女流4冠は村田智弘7段に勝利して、引き続き安用寺孝功7段と対戦し、これが相振りとなった。

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 図は先手が安用寺7段で後手が里見女流4冠。先手が49手目に74歩と突き捨てて95歩と端攻めを敢行した。以下、うまく手をつなぎ後手の美濃囲いを攻略して101手で先手勝利した。相振りにおける美濃囲いは端に弱点があるので端攻めの戦いになることが多い。

 さて、私事ですがコロナワクチンの2回目の接種を受けた。2回目での副作用を心配したが発熱もなかった。医者によると若い人ほど免疫力が強く発熱するものだと聞かされ妙に納得した。ワクチンを打っても感染するときは感染するものらしいが、せめて重症化するリスクはないという効能だけは信じたいものである。

今回の詰将棋:19手詰

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詰将棋の解答(6月ブログ分)

6月1日分*53銀 同銀 41角成 同玉 52金 31玉 53馬 22玉 31馬 同玉 42銀 22玉 33銀生 同玉 32金 43玉 42金右 33玉 32銀成 まで19手詰

6月3日分*72銀 51玉 62と 同銀 52龍 同玉 61銀打 42玉 52金 同角 同銀成 同玉 44桂 43玉 32角 33玉 23金 42玉 41角成 同玉 32金 51玉 43桂 まで23手詰

6月10日分*81銀 83玉 72銀打 同金 同銀生 同玉 61角 63玉 64金 62玉 52角成 同玉 53金入り 同玉 51飛成 52合 64金 まで17手詰

6月13日分*73銀 同金 61角 82玉 83角成 同金 71角 73玉 62銀 同金 同角成 同玉 51銀 73玉 72金 同玉 32飛成 73玉 62龍まで19手詰

6月26日分*82銀 同玉 83銀 71玉 81角成 62玉 54桂 同銀 71馬 同玉 72銀成 まで11手詰

マイナビ女子オープン

第15期マイナビ女子オープンの一斉予選が6月26日に行われた。

 午前・午後に通算3回、12局単位で延べ36局行われた。

最終的に12名が本戦トーナメントへの出場が決まった。

私が特に注目したのは36局の戦型分析である。

25局が振り飛車でうち6局が相振り飛車となった。

25÷36=0.694で約7割が振り飛車戦である。

女流棋士の戦型傾向をある程度裏付けたことになりそうだ。

 その中より長谷川優貴女流2段vs藤田綾女流2段の相振り飛車戦を紹介したい。

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途中図は先手が49手目に56金と上がったところである。これに対して後手は65銀と切りこんで本格的な中盤戦となった。以後、緊迫感のある攻防が続いたが後手が130手で制した。

今回の詰将棋:11手詰

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