ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

思いがけない振り飛車

 9月3日女流王座戦の準決勝の一局。先手・伊藤沙恵女流3段vs後手・加藤桃子女流3段の対戦でなんと先手が角交換四間飛車を目指した。この二人の対戦ではてっきり相居飛車だろうと思い、一応確認してから本日は王座戦第1局に集中しようと思っていた矢先の出来事である。パソコンを2台開くことになった。さて途中図は昼食休憩時点での局面で先手が45手目で36歩と指したところである。

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 再開後は玉頭戦気味になった。先手は後手玉を7筋方面へ追う形になったが、互いに角打の好手も出るなどして先手玉は55玉と天王山へ出てからは勝ちやすくなったようだ。119手で先手勝ち。伊藤さんの将棋は相振りの時だけみてきたが本格的に振り飛車党を目指すなら、こちらも真剣に応援したくなるというものだ。今回対抗型の振り飛車側をもって指すということはあまり経験がないかもしれないがその心意気を大いに買いたい。

今回の詰将棋:11手詰

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詰将棋の解答(8月ブログ分)

8月4日分*21龍 同玉 13桂打 同香 33桂打 11玉 21金 12玉 22金 同金 21銀 11玉 12金 同銀 同銀成 同玉 21銀 11玉 12銀打 同金 同銀成 同玉 21馬 23玉 22金 まで25手詰

8月5日分*73銀 61玉 62銀成 同金 51金 同玉 41飛 52玉 61角 同金 63金 同玉 61飛成 74玉 64角成 85玉 86金 94玉 95歩 84玉 74馬 同玉 64龍 まで23手詰

8月6日分*21金 同玉 33桂生 同金 31金 同玉 42銀 同玉 51角 32玉 41角成 22玉 31馬 同玉 42銀 21玉 22金 同玉 33銀成 13玉 23成銀 同玉 33金  13玉 22銀 まで25手詰

8月7日分*63銀 同金寄 同桂成 同金 61銀 71玉 72銀打 同飛 同銀成 同玉 63角成 同玉 62飛 同玉 53金 72玉 62金打 まで17手詰

8月8日分*82銀 61玉 62桂成 同金 43馬 52金寄 53桂 62玉 71角 72玉 63桂成 同玉 64銀 同玉 65金 63玉 54馬 まで17手詰

8月9日分*32角成 同銀 31銀成 同玉 42金 22玉 32金 23玉 22金 13玉 12金 同香 22銀 23玉 32銀 22玉 21銀成 同玉 22銀 まで19手詰

8月12日分*62銀成 同金 72香 同金 61角成 同玉 52金 71玉 62金打 同金 同金 81玉 72金 同玉 73銀 61玉 62金 まで17手詰

8月14日分*32角成 同銀 14桂 同金 23金 同銀 21飛 同玉 23飛成 22金 33桂 11玉 12銀 同金 21龍 まで15手詰

8月17日分*91銀 71玉 82銀打 同銀 同銀成 同玉 94桂 71玉 82銀 61玉 62角成 同金 72銀 同玉 71金 まで15手詰

8月19日分*22金 同玉 31銀 33玉 42銀生 同金 同龍 22玉 33金 同桂 32龍 同玉 43角 同玉 42金 まで15手詰

8月25日分*61飛 41桂 42と 同玉 53金 同桂 31角 32玉 41飛成 同玉 42金 まで11手詰

最後の枠をかけて

 8月25日、ベスト4入りをかけて女流王座戦の準々決勝の4局目が行われた。先手・鈴木環那女流2段vs里見香奈女流4冠の一戦。

 後手の55歩位取り中飛車に対して先手は居飛車穴熊の作戦を採用した。途中図は昼食休憩に入った局面。58手目に後手が85桂と跳ねた局面である。

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  再開後、先手は46角と指し後手は55銀とぶつけて一気の捌き合いを目指した。まともに交換しては端に手がついている分だけ後手良しとみた先手は53歩から45金とかわしながら応じた。しかし、結果的に角金対飛銀の交換となった。ここからは互いに力の見せどころだったが後手は39角以下終始攻めのリードを取り続け102手で勝利した。

今回の詰将棋:11手詰(易しい合駒作品)

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清麗戦第5局

8月18日、第2期清麗戦第5局が行われた。先手・上田初美女流4段vs後手・里見香奈清麗。振り駒で後手番となった里見さんはゴキゲン中飛車中飛車をこれに対し先手の上田さんは超速銀の作戦をとった。途中図は昼食休憩に入った時の局面で63手目先手が36飛と指したところである。

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  この将棋は途中図が象徴しているように9筋の攻防が見所だった。どちらが良くなっているのやらよく分からない。特に後手の美濃の金銀を2枚の香ではがしたときなど先手が良いようにもみえたが146手で後手が勝ちとなった。今回の5番勝負は挑戦者が第3,4局を連続して返したときはその勢いで3タテするのではないかとも思われたが上田さんにとって残念な結果に終わった。

今回の詰将棋:15手詰

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裏芸の達人はやむごとなきものなり

 8月17日は女流王座戦準々決勝第3局がおこなわれた。先手・藤井奈々女流初段vs後手・伊藤沙恵女流3段の一戦。振り飛車党の藤井さんに対して居飛車党の伊藤さんが裏芸の相振り飛車をぶつけるかどうかがまず注目だがそれに応えてくれるところが彼女のえらいところだ。途中図は昼食休憩に入った局面である。50手目後手が24銀と援軍を繰り出した局面である。

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  序盤早々後手からの端攻めを防ぎつつ、先手は金銀をひきつれて玉との集団で盛り上がりながら受けていたという感じだ。その間、後手は2枚の「と金」を巧みに作る。100手目に後手は24角と出てから一気に局面がほぐれだした。「捌けば捌かれる」の言葉通り、お互いに適当な攻め駒が駒台にのり、新たな油断ならない局面を迎える。112手目56歩以下終盤に突入。49角から76角成と飛車を取った形が「詰めろ」とあっては勝負あった(134手で後手勝ち)。この将棋は藤井さんのねばり強い受けが印象に残る。後手の勝利は相振りの経験値が活きたからかもしれない。

今回の詰将棋:15手詰

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アベマトーナメントの再現?

 8月13日79C2順位戦3回戦が一斉におこなわれた。そのうちより、先手・今泉健司5段vs高野智史5段の一戦を紹介したい。ごきげん中飛車vs超速銀ではじまった。途中図は32手目後手が87銀成と切りこんだところである。

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この後86飛から同成銀となり、なんとこの「成銀」は84まで移動し、再び前進して77まで行った。ちょっとした成銀の軌跡といった感じである。将棋の方は終盤、先手の執拗な攻め、後手の粘り強い受けの応酬が続き、まるで二人が出演したアベマトーナメントでの戦いぶりを彷彿させるものがあった。観ていて面白いとはこんな将棋をいうのだろう。145手で先手が熱戦を制した。

今回の詰将棋:15手詰

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期待通りのすがすがしさ

 第10期女流王座戦本戦トーナメントはベスト8が出そろっている。8月12日は準々決勝第1局として先手・山根ことみ女流2段vs岩根忍女流3段の一戦である。二人は振り飛車党。期待通りの相振り飛車は見ていてすがすがしささえ感じられる。昼食休憩時の途中図は角交換の後、先手が再度66角と打ちすえたところである。

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 再開後、ほどなく後手は45桂と幸便に跳ねだし、先手玉のコビンから襲いかかった。先手は受けに徹し、互いに難しい中盤戦が続いた。先手は後手の攻撃をよくかわしたと思う。特に金無双の壁銀を引いての玉の早や逃げ、反撃含みの37角などで123手にて難敵に勝利した。

今回の詰将棋:17手詰

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