ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

相振り、壮絶タタキ合い

 8月4日に行われた47期女流名人戦リーグでの先手・香川愛生女流3段vs後手・山根ことみ女流2段との一戦から。

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 途中図は先手27手目36飛と転じた手に対して後手が35歩と応じたことから事件が発生したというか激しい攻め合いに突入した。とにかく4枚の大駒が乱れ飛ぶ、なんとなく格闘技をみているようだった。千日手持将棋をみせられるよりは俄然面白いことだけは確かだ。最後は後手の居玉が悪影響し、85手で先手が勝った。

今回の詰将棋:17手詰

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新四段の相振り飛車

 8月6日はアベマで朝日杯の日。この日、午後2時から先手・木下浩一7段vs後手・山本博志4段の対局が行われた。先手向い飛車v後手3間飛車となる。途中図は38手目後手が端の香歩の総交換をへて15角と出たところである。

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 これより先手は84歩と反撃を開始したかにみえたが、後手17歩、同銀、36歩以下猛攻撃が始まり、21桂が戦いに参加することなく飛・角・銀・香・歩の力で先手の金無双が崩壊し、70手の短手数で後手勝利した。3間飛車の使い手は相振りもうまい、お見事でした。

今回の詰将棋:17手詰

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生きているうちに・・・

 王位戦第3局が終局したが、某TV局に出演した山口恵梨子女流2段が次のようなコメントを残している。藤井棋聖がみせた矢倉の「雀刺し」に対して「タイトル戦という大舞台で生きているうちに見られるとは思わなかった」と大興奮で語ったらしい。

 いくら近年指されなくなったとはいえ、「雀刺し」は矢倉戦法に付随する指し方であり潜在的可能性はゼロではなかったであろう。

こういう表現は次のように使用したいものだ。

「あの藤井棋聖がまさか振り飛車を指すとは、生きているうちに見られるとは思わなかった」というのはどうだろう。

これは多くの振り飛車フアンの願望とあきらめが入り混じった心からの叫びにほかなりません。

今回の詰将棋:25手詰 (銀冠問題)

 夏の九G例会の課題が「銀冠」だったので10作近く作成した。

 8月4日の分もそうだが、このブログでも順次紹介したい。

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金無双ブーム?

 久保9段が王座挑戦を決めた一局より図は34手目後手54銀と指した局面である。

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 後手は次に62金上としめるものなら、まさにこの囲い方は相振り飛車における囲い方・金無双そのものである。これが対抗型の振り飛車側に現れたということが少々驚きである。通常なら定番の美濃囲いのはずだ。最近では対抗型の居飛車側が金無双で戦うこともあるという。AIに教えられたという「エルモ」囲いといい、なにか将棋の奥深さをあらためて学ばされる思いがしてならない。

今回の詰将棋:23手詰(金無双の話しだったので詰将棋も金無双作品です)

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久保九段、タイトル戦へ

 8月3日に王座戦の挑戦者決定戦がおこなわれ、久保利明九段が渡辺明二冠を破り13年ぶり3回目の王座挑戦となる。タイトル戦そのものは昨年、王将失冠して以来となる。

 感想戦後のインタビューで「タイトル戦で振り飛車でも戦えることを証明したい」と語り、世の振り飛車フアンをグッと泣かせるようなコメントであった。

 最近、各タイトル戦に今一つ興味が薄れていたが、これで王座戦に関しては真摯に向き合えるだろう。そして、しばらくは日経新聞を読むのもまた楽しみになりそうだ。

今回の詰将棋:25手詰(駒のはがし方にも一工夫)

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詰将棋の解答(7月ブログ分)

7月1日分*12桂成 同香 24銀 同玉 25銀打 13玉 23銀成 同玉 24歩 32玉 31金 33玉 23歩成 同玉 41馬 同金 24銀打 まで17手詰

7月2日分*31銀 12玉 22金 13玉 23金 同玉 32飛成 同金 22金 同金 同銀成 同玉 31銀 13玉 23金 同玉 32銀 同玉 22金 33玉 42馬 まで21手詰

7月3日分*11金 13玉 25桂 同銀 12金打 同銀上 同金 同玉 13香 同玉 22銀 12玉 11龍 まで13手詰

7月4日分*29桂 16玉 28桂 同と 26銀 同玉 17角 26玉 16飛 まで9手詰

7月5日分*63銀成 同玉 72銀 同玉 82金 同玉 74桂 72玉 82金 63玉 62桂成 同玉 53金 まで13手詰

7月5日分*62桂成 同金 61角 81玉 82金 同銀 72金 同金 同角成 同玉 63金 同玉 55桂 73玉 63金 83玉 61馬 92玉 81銀 同玉 72金 92玉 82金 同玉 83銀 73玉 72馬 まで27手詰

7月10日分*72銀 同金 同角成 同玉 61銀 82玉 72金 同銀 同銀成 同玉 81銀 82玉 74桂 同歩 73銀 同玉 71飛成 まで17手詰

7月11日分*43と 同銀 33銀 同桂 同金 21玉 13桂打 11玉 12歩 同玉 24桂 同歩 21角 11玉 23桂 同銀 12歩 同銀 同角成 同玉 23銀 11玉 22銀成 まで23手詰

7月12日分*73桂 同桂 62銀 同玉 74桂 61玉 83角 72桂 同角成 同銀 62金 同金 同桂成 同玉 74桂 52玉 42金 61玉 51金 71玉 82飛成 まで21手詰

7月13日分*82銀 同玉 74桂 83玉 82金 93玉 83金打 同銀 同金 同玉 82桂成 同玉 83銀 71玉 82銀打 62玉 73銀成 同玉 74銀成 72玉 64桂 62玉 73銀 71玉 72桂成 同金 同銀成 同玉 83成銀 63玉 74金 62玉 73金 61玉 72金 まで35手詰

7月17日分*83銀 71玉 63桂 61玉 51桂成 同金 72銀打 同金 同銀成 同玉 63馬 82玉 83金打 91玉 64馬 同角 92銀 まで17手詰

7月18日分*73桂生 同金 91飛 同銀 同歩成 71玉 62銀 同金 同馬 同玉 54桂 同金 52金 72玉 81銀 82玉 92と 71玉 72歩 同金 同銀成 同玉 62金打 まで23手詰

7月22日分*22銀 同金 同飛成 同銀 21金 同玉 32金 11玉 12銀 同玉 21銀 23玉 22金 同玉 32桂成 23玉 12銀打 まで17手詰

7月24日分*72歩成 同玉 62角成 同金 63金 同金 同桂成 同玉 53角成 72玉 64桂 82玉 71馬 同玉 72金 まで15手詰

7月25日分*73金 61玉 62金 同金 73桂 72玉 54馬 63金 64桂 82玉 71角 同玉 81金 62玉 61桂成 同玉 43馬 62玉 52馬 まで19手詰

7月26日分*62と 同銀 53桂 同金 72金 同玉 73歩 同桂 81銀 同玉 82金 同玉 62龍 72飛 71銀 91玉 92銀 同飛 同龍 同玉 72飛 81玉 82飛成 まで23手詰

7月27日分*44桂 31玉 22銀 同玉 34桂 同角 42龍 同銀 31角 同玉 32金 まで11手詰

7月28日分*23銀 同金 同金 同玉 22飛 同玉 33角 32玉 21角 同玉 22金 まで11手詰

 

沙恵流、相振り

 7月28日は第10期女流王座戦本戦トーナメントより2局の中継があった。2局とも振り飛車、これは見ていて楽しい。

 一つは先手・里見香奈女流4冠vs後手・中澤沙耶女流初段の一戦で里見さんの55歩位取り中飛車。もう一つが先手・伊藤沙恵女流3段vs室谷由紀女流2段の一戦で相振りとなった。伊藤さんは本来、居飛車党だが稀に相振りを指す。これがまた妙にうまく指すから侮れないのだ。向い飛車対3間飛車ではじまった将棋は下記の途中図で昼食休憩にはいった(50手目25同歩)。

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  先手は居玉だがチャンスとみて3筋を逆襲した。2筋3筋の攻防がお互いに抜き差しならぬ対決となった。後手にかなりの追い上げを喫したものの、2枚のと金を確実に活用して寄せきった(99手)。この将棋は伊藤さんらしい個性的な相振りの戦いぶりであった。

今回の詰将棋:11手詰

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