ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

居玉

 10月25日第45期棋王戦挑戦者決定トーナメントより羽生善治九段vs佐々木大地五段の一戦が行われ、AbemaTVで中継された。本来、居飛車の将棋は見ない方針だが長崎県出身の佐々木五段なのでときおり見ていた。結果は佐々木五段が勝ったが、すこし注目したのが羽生九段の玉が最後まで居玉だったことである。

 居飛車同士の戦いは佐々木五段の玉が52であったが、このように互いに居玉に近い状態で戦うことが多いようだ。その点振り飛車はどうなんだろうと考えてみた。四間飛車藤井システムが居玉に近い状態で戦うのは例外として玉を囲うことが多い。すなわち美濃城に3手かけて動いてくれとうながす。中飛車は「そこは私の場所だ」といい、三間飛車は「うまく捌くから流れ弾に当たらないように」といい、向かい飛車は「ゆっくり戦うから安全な所へ動いて」とそれぞれの飛車が玉に語っているようだ。

今回の詰将棋は31手詰。

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相振りの日?

10月23日に行われた対局のうち、把握できた分だけでも4局の相振り飛車が指されていた。8大タイトル戦を始め、居飛車の戦いが席巻しているというのに、どういう風の吹き回しかといいたくなるほどだ。

そのうちから井上慶太9段vs中田功8段の一戦(第61期王位戦予選)を見てみよう。

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両者、駒の損得はなかったが先手は74歩の突き捨てから95歩と攻めた。ほどなく93に「と金」ができて後手投了となった。この局面ではすでに先手がよいのだろう。

今回の詰将棋は23手詰。

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小野ゆかりアマ

 昨日のブログで甲斐vs小野戦を紹介したが、小野ゆかりさんは以前から名前は知っていたがリアルタイムで指し手をみたのは初めてだった。しっかりした指し手に興味を覚え、彼女のこれまでの棋譜をDBで調べてみたら47局ヒットした。ほぼ全局が振り飛車でうち23局が相振り飛車であった。振り飛車フアンとしては嬉しくなるデータだ。今後の将棋内容が気になるし、又その活躍にもおおいに期待したい。

今回の詰将棋は15手詰。

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マイナビオープン本戦より

10月21日、第13期マイナビ女子オープン本戦1回戦第8局が行われた。甲斐智美女流五段vs小野ゆかりアマの対局。女子アマのトップクラス小野さんの登場。二人の対局なら相振り飛車とみていたが、先手甲斐さんが76歩 34歩 から26歩でアレッ。後手は角道を止めてノーマル四間飛車になりホッ。

 序中盤は互角の展開だったと思う。終盤111手目先手が91龍と切り、93金としばった。後手受けが難しくなったがこの93金をかなり無理して抜く手順を選択したために駒損が大きくなり137手で先手が勝利した。甲斐さん相手によく指したと思う。なかなか強いアマがいるものだとあらためて感心した。

今回の詰将棋は19手詰。

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今泉健司四段

 10月17日にC2順位戦があり、今泉4段は島本5段と対戦し、先手中飛車で165手で勝利した。将棋の内容は終始相手からの細い攻めをずっと受けていた印象があったが、最後は飛車と角が敵陣の急所をにらんだ状態で44歩とついてあっけなく終わった。

 彼の年齢なら通常あまり思うように勝てなくなったり気力も十分とはいかなくなるものだ。その点、将棋全般に真摯に向き合っておられるのには敬服に値する。Facebookなどを拝見すると西に東にとアマの指導に出かけている。全国のフアンから広く声をかけられてその期待にできるだけこたえている姿勢がうかがえる。在野で苦労した人はアマ将棋の雰囲気がよく分かる面があり、指導もうまい。ところで順位戦の成績はこれで4勝1敗となり、少しでも来期の順位をあげるべく白星を積み重ねてほしいものだ。

今回の詰将棋は17手詰。金無双から玉が中央にきています。

収束は金頭の桂の連続でしとめます。

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久保九段の4回戦

 10月15日に久保9段の順位戦が行われた。4回戦の相手は木村一基9段だった。先手の久保9段は3間飛車で99手で勝利した。4回目にしてやっと片目が開いた。今年のA級は残留争いが熾烈だ。それだけほとんどの棋士の力が拮抗しているのだろう。団子レースの感がある。久保9段は順位も中途半端な位置だし、1勝でも多く積み重ねてなんとか残留の目途をたてて、菅井7段が上がってくるのを待つぐらいの余裕をもってもらいたいものだ。鬼が笑うかもしれない来期には振り飛車を本格的に指せる二人の棋士でA級を盛り上げてほしい。8大タイトル戦にからまない二人に対する私のささやかな希望でしかないのだが。

今回の詰将棋は23手詰。

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倉敷籐花の前哨戦

 10月16日マイナビ女子オープン本戦より、伊藤沙恵女流3段vs里見香奈女流6冠の対局があった。この二人は11月に倉敷藤花3番勝負が控えている。さて、戦型は相振り飛車となった。こうこなくてはね。本来、居飛車党の伊藤さんはなぜだか、相振りだけは妙にうまく指す。里見さんに一発入れるならこれが本命の戦法だと私は思っている。下記図は71手目、先手が41角と打ちこんだところである。

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 以下、52香 53歩 同金 46歩と進んだがかなり際どい終盤戦となった。里見さんも地力をは発揮しだして混沌としてきたが最後は133手で先手が勝利した。これで倉敷籐花も熱戦が期待できるというものだ。願わくは相振り飛車シリーズとなることを希望したい。

今回の詰将棋は19手詰。

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