ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

三間飛車

 8月16日(金)の朝日杯は高崎6段が登場し10時より田中9段と対戦した。後手番となった高崎6段は3間に飛車を振った。33手目に先手は55銀と相手の44銀にぶっつけて銀交換を迫った。その後、本格的な戦いとなり後手は少しずつポイントを稼ぎつつ、堅陣の美濃囲いを攻撃されることもなく116手で快勝した。

  15日の戸辺7段といい、3間飛車が少しブームになっているのかな。3間といえば、将棋世界9月号の戦術特集で小倉久史7段と山本博志4段の師弟コンビで特集が組まれている。山本4段は昨年10月に新4段となった現在23歳の棋士である。読んでみると彼の振り飛車愛が半端でない。下町流の後継者の域にとどまらず、久保9段や菅井7段のように振り飛車でもタイトルが取れるんだということにならい、ぜひ精進してもらいたいものである。

今回の詰将棋は21手詰。

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朝日杯の日

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  アベマTVでは画面下に「木・金は朝日杯の日!」というキャッチフレーズが貼ってある。5,6人の中継なら一人ぐらいは振り飛車をしてくれるだろうとの期待がふくらむものだ。そして期待にたがわず戸辺7段vs青野9段戦が3間飛車となった。

 76歩から75歩と早くも3手目で今日は何が何でも石田組の3間飛車をやりたいんだという明確な意思表示が示されて、それがなんともいさぎよい。藤井7段の初手にも振り飛車は絶対にするものかと若者らしい一途さを感じるがまあそれはそれでよいだろう。

 さて、将棋の内容だが上記、図面にあるように40手目後手に75歩と飛車当たりに歩を打たれたところである。この飛車取りに目もくれず、65銀と捌きにでた。これが好手で以下、先手がうまく指して75手で勝利した。

 今回の詰将棋は17手詰。

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「AI」の世界 2

 Com対プロ棋士の5vs5対決の最後の対戦が2015年だった(延べ3回開催された)。一方、Com同士の将棋選手権は毎年開催され、新しいソフトが優勝するなど進化を続けている。プロ棋界がComとの共存という道を選択したのか若手棋士を中心にそれを研究に取り入れるなどしている。そういったなか、Comの振り飛車に対する評価が低いことに影響してか、プロ側に振り飛車戦法を敬遠する傾向が生じたことを大変懸念している。

 趣味の世界というのはその競技人口が大きくなったときに、プロ組織が誕生するというのが自然の理である。アマには振り飛車ファンが多いという事実を忘れてほしくないのだ。相振りにしても定跡が解明されつくされたわけではない。所詮、手将棋だからとみるのではなくて、その真理を追究するのもまた、プロの使命だと思う。

今回の詰将棋は37手詰

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「AI」の世界

 20年、30年たっても、詰将棋の創作が人類の特技的趣味として残っていたらいいなと思う。

詰将棋の解図はすでにコンピューターのスピードにかなわない。創作のほうは単純に詰む、芸術的に詰むなどの違いに理解が及ばないらしい。だが持ち前の学習能力を発揮してその芸術性が理解できる日が来るとしたら、看寿賞の選考委員の役割を担ってもらえるかもしれない。その合理的?批評を聞いてみたい気もする。更に進化すると「この程度なら俺にも創作できる」となった時はやはり怖い気がする。

今回の詰将棋は17手詰

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魅せる振り飛車(今泉四段)

 8月11日はNHK・ネット中継などで4局あり。そのうち振り飛車を3局観ることができた。午前中にNHKで阪口六段が負けて、加古川青流戦では里見五冠が負けてしまった。残る期待は午後2時からの大橋五段vs今泉四段の加古川青流戦。これが稀に見る激戦だった。駒組みまでは互角とみていたが中盤に入って先手の大橋五段は24歩、35歩の突き捨てを経て本格的な戦いとなった。後手の今泉四段は13角の切り返しから、56歩の攻め合いを目指したのが勝負手でその後は一手指した方がよくみえる流れになったが最後は後手が制した。今泉さんの棋風はアマにも理解しやすい手も多く、見ていて面白い将棋が多いようにいつも感じる。

今回の詰将棋は27手詰。

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相振り飛車のスゴイ寄せ

 相振りの棋譜並べをしていると時折、目の覚めるような寄せに遭遇することがある。そういった実戦の一つが升田幸三vs塚田正夫の一戦だ。図は55手目21飛と下ろしたところ。ここから後手の一連の着手が先手の4枚美濃を粉砕してしまう。

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▽45桂 ▲48銀 ▽56銀 ▲同金 ▽47歩 ▲59銀 ▽同飛成 ▲同金 ▽46角 ▲同金 ▽37銀 以下後手勝ち。

 将棋を指しているときの終盤の寄せ合いでこれはものになる(詰将棋になりそう)と思える時がある。多分それと同じ感覚がこういった局面では必要なのだろう。すなわち、<これはつぶれている>と思える感覚が瞬時に浮かぶかどうかが指し将棋における実力の一端なのかもしれない。

今回の詰将棋は27手詰。

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詰将棋は物語

 盤上にそれぞれの意味付けを持った駒が存在している。その整然とした姿はこれから始まる物語の展開を待っている。やがて、正確な初手が着手され保たれていた姿は崩れ始めるが、一手進むごとに見る者を納得させ、あるいは感心を昂じさせつつ収束に向かって突き進んでいく。それは煙詰のようなミステリーなのか、それとも曲詰のようなファンタジーなのか、様々な感動を呼びこみながら、やがて終焉の玉の姿が観衆の前に現れる。

 詰将棋全国大会では看寿賞の作品がプロジェクターを介して大画面で展開・披露される。詰将棋創作にある程度の技量は有しているが看寿賞とは無縁のこの私が毎年、このシーンに出会うたびに思う率直な感想なのだ。

今回の詰将棋は一ケタの9手詰。

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