ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

詰将棋の解答(5月ブログ分)

5月1日分

*63金 71玉 62金 同金 72金 同金 63桂 同金 72金 同玉 63歩成 同玉 53角成 72玉 62金 まで15手詰。

*73金 同金 52龍 62金打 63金 81玉 72金 同金 同金 同金 同龍 同玉 64銀 61玉 72龍 同玉 63金 81玉 72金打 92玉 82金 同玉 73銀成 92玉 81銀 同玉 72金 92玉 82金 まで29手詰。

5月3日分

*41飛 51角 同飛成 同玉 42と 61玉 52と 71玉 62と 81玉 72と寄 92玉 94香 同と 82と寄 93玉 83と引 同銀 71角 92玉 82角成 まで21手詰。

*41飛 51角 同飛成 同玉 42と 61玉 52と 71玉 62と 81玉 72角 92玉 93歩 同玉 85桂 92玉 81角成 同玉 72成香 92玉 93歩 83玉 73成香 まで23手詰。

*33金 51玉 31飛 41角 同飛成 同玉 32と 51玉 42金 61玉 52金 71玉 62金 82玉 72金 92玉 93歩 同桂 81角 91玉 82金 同玉 73と 91玉 92歩 81玉 72成香 92玉 82と まで29手詰。

5月5日分

*56銀上 同馬 47桂 同馬 64馬 同飛 45飛 まで7手詰。

5月9日分

*53桂 同金右 73桂 72玉 81桂成 同玉 91飛 同玉 71龍 81香 55馬 64歩 同馬 同金 82銀 92玉 93歩 83玉 73龍 まで19手詰。

5月21日分

*64桂 同金 61銀 同金 同角成 同玉 52銀 同玉 44桂 53玉 43金 同玉 34金 42玉 43金打 41玉 63角成 同金 42歩 51玉 52桂成 まで21手詰。

5月27日分

*53桂 同金右 72銀 同銀 71金 62玉 72金 同玉 84桂 同歩 83銀 62玉 74桂 同歩 73銀 同玉 82馬 62玉 72銀成 まで19手詰。

 

詰将棋は教えるものではない

 将棋教室で子供たちに将棋を教えている。指し将棋は自分より強い相手と指していると自然と上手くなっていくものだ。

 その点、詰将棋はニュアンスが異なる。

詰将棋は基本的に人に教えるものではないと思っている。

それは詰将棋が感性の世界だからである。

感性とはなんらかの印象を感じ取る、その人の直感的な心の働きのことを云う。

絵画や音楽の世界を考えると幾分、分かりやすいだろう。

見る人の感性に訴えるものがある絵画、聴く人の感性に訴えるものがあるのが音楽である。

 看寿の名作をひもといて「ほら、この手が妙手でしょう」などと説明しても分からない人にはただポカーンとしているだけだろう。詰将棋を解きながら、その作品が持つ妙手・好手を自然と感じ取ることができるそういった感性を培っていけるとき、詰将棋の解図・創作への能力アップが期待できるだろう。

 だから、詰将棋能力は一人で身につけていくしかないのである。

 

「金無双」シリーズより、今回の作品は19手詰です。

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詰将棋を解くコツ

 詰将棋の配置駒には無駄な駒は一つもありません。一つ一つがなんらかの意味を持ちつつ、盤上に存在しています。もしそうでなければそれは「飾り駒」といって詰将棋作家が嫌うものの一つです。

 詰将棋の創作とは余詰や不詰との戦いです。その他、変化同手数や手順前後の解消などに腐心することもあります。

「金無双」の拙作シリーズからの作品をお手本に配置駒の位置づけを検討してみましょう。

 

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 図では87歩や15飛の存在が少し目障りというか、これらが何のためにいるのだろうと考えることが解図への大きなヒントになることがあります。

 87歩は手順前後の解消のためであり、また15飛は二つの余詰消しのための配置です。これらはそれが解決への唯一の方法ではなくて詰将棋作家のセンスが問われるところでもあります。

さて、これらは具体的にはどういった手順になるのだろうと考えつつ、解図するのも解き方上手になる道かもしれません。

作品は21手詰です。

JTプロ公式戦

 今年のJT杯の日程が既に公表されている。

選抜された12名の棋士を見てみると、いつでも振り飛車が指せる棋士は二人しかいない。久保利明九段と菅井竜也七段である。その二人が1回戦の組み合わせであたってしまった。もう少し互いに勝ち進んだところで実現してほしかったが仕方がない。6月22日に金沢市で開催される1回戦第1局である。

 振り飛車党同士だから当然「相振り飛車」を期待する。

しかし得てしてこのような場合互いに作戦を牽制しあうものだ。菅井さんが振り飛車を譲りそうな感じもするが、妙に牽制しあうと気付いたときには両者、居飛車だったという最悪の事態にもなりかねない。せっかく、金沢まで出かけたいと思っているのだから、振り飛車フアンの期待を裏切らないでほしいものである。

 公開対局が「相振り飛車」になることを期待して、「金無双」の詰将棋を作ってみた(19手詰)。

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叡王戦(長崎対局)

 第4期叡王戦第3局が令和元年5月4日に長崎市内で開催された。長崎市内でプロのタイトル戦が開催されるのは実に久しぶりというか、前回がいつだったか思い出せないほどだ。 例年この時期は森一門祝賀会で大阪へ行くことが多いが急遽取りやめた。

 対局場所は長崎市の繁華街にある思案橋・丸山近辺の史跡料亭「花月」で行われた。現地の大盤解説会は佐々木大地五段、聞き手が水町みゆ一級である。佐々木五段(長崎県出身)は最多勝を獲得するなど今売り出し中の若手である。前々日に長崎入りをして、私も手伝う「子供将棋教室」で指導将棋をしていただいた。夜は10数名の有志で懇親会を開催した。私も参加し、「王位戦リーグ」の話題、コンピユーターの活用の実態など彼に質問し会話も弾んだ。

   さて、解説会は午後1時30分からの受付で午後2時開始だったが午後2時前には100人ほどの席がうまってしまった。午後2時少し前に始まった会で佐々木五段は戦型予想を角換わり、横歩取り、矢倉など飛び交っていたが振り飛車にしか興味がない私にとってどうでもいいことであった。矢倉になったが最近の矢倉は玉の囲い方がいわゆる「矢倉囲い」でなくても矢倉というのかという点でまず驚いてしまった。午後五時頃、早退して自宅のパソコンでネット観戦することにした。どちらを応援しているというわけでもないが、永瀬挑戦者が勝ち三連勝となった。興業的には高見叡王が一,二番まず返した方がよいのだろうが、このタイトル戦はストレートで決着が着くというジンクスだけは作らない方が賢明だろう。

 今回、解説にあたった佐々木五段だがAbemaTVに出演慣れしていることもあり、なかなかの解説ぶりであった。故郷に錦を飾るとまでは云えないにしても、いつの日かタイトル戦の当事者として長崎を訪れてほしいものだ。彼の歓迎を兼ねて即席の詰将棋を1題作った。ササキの「サ」で7手詰です。

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アマレン杯握り詰

 詰将棋全国大会の恒例イベントに「アマレン杯握り詰」がある。今年は使用駒はともかく、19手以内という手数制限がかかった。初めての出来事であり、かつイジメにあった気分でもある。この握り詰はいったい誰が駒を握っているのかというとアマレンの理事長が握ってると以前、聞いたことがある。アマレンは昨年夏に役員の大幅な改選が行われた。それが原因でないことを願うが・・・。

 

 さて、スムーズに作品が出来上がるか挑戦してみた。似たような構図からスラスラと3作できた。20手台の詰手数のためにコンテストには出せないが収束がそれぞれ適当に気が利いているので披露したい。詰将棋作家というのはこのような収束パターンの引き出しを持っているので握り詰でもあまり苦にしないものである。ところでこれらの作品を19手にするために頭数手をカットすればよいというものではない。そうすると使用駒そのものの条件が狂ってしまうからである。もし、長篇作品を嫌ったのであれば、もう少し落としどころがあったと思うのだが・・・。それでも、19よ大阪へ。

 締め切りが1か月近くあるので新しいアイデアで19手以内に挑戦してみたい。

  (下記作品は21手詰・23手詰・29手詰です。)

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相振り飛車考

 若い頃より詰将棋研究の傍ら、将棋を指すことも楽しんできた。あまり神経を使わずに気楽にさせる戦法ということで振り飛車党になった。相振りになる場合があることを覚悟すればほぼ100%自分の将棋が指せる。その相振りだが最初の頃は「仕方なく」指していたが徐々に対抗型(居飛車vs振り飛車)より相振りそのものが面白くかつ楽しくなった。あの頃は(今でも多分にそういう点があるが)定跡に未開発の部分があり手将棋の感覚が詰将棋の創作のそれと私の場合多分一致したのだろう。

 

 さて、棋泉というソフトにプロ棋譜を収集してきたが相振りだけでも2000局近くある。これを棋士別に分析して統計を採ってみた。(初期の頃はお気に入りの棋譜しか入力しなかったので私の収録数は連盟が把握している分と当然違うことを最初にお断りしておきたい。然し乍ら、ある程度の傾向は一致するものと思う。)

対局数のベスト5は次のとおりである。

1位 久保利明九段 123局

2位 藤井猛九段  112局

3位 鈴木大介九段  78局

4位 小林健二九段  68局

5位 近藤正和六段  65局

次点は谷川浩司九段が続いている。

現代相振りの御三家は予想通りである。ついでに云えば昭和40年及び50年代の相振り御三家は内藤國雄九段・佐藤大五郎九段・大内延介九段を挙げたい。彼らもランキングの10位前後に顔を出している。

 

 相振り飛車の玉の囲い方は今でこそ美濃、矢倉、穴熊等多彩になってきたが黎明期では「金無双」が主流であった。この金無双は現代将棋では相振りに見かけるだけであり、まさに相振り飛車独特の構想力から誕生した「囲い」と云えるのではないだろうか。

 

 九州の詰将棋作家の会合を年2回博多で開催している。来る夏の会合の課題が「囲い図式」であるので、「金無双」という囲いにこだわってこの4月に作品作りに励んだ。10数点作品が出来上がったのでこの中より2作品をこのブログで公開したい。手数をヒントに挑戦してみてほしい。駒取り駒交換、非限定などキズがあるが実戦型は解いて楽しむことが一番大切である。(15手詰と29手詰です)

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