ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

JT杯福岡対局

 <なぜ飛車を振らなかったのか>
 第38回JTプロ公式戦1回戦第4局が8月6日福岡国際センターで開催された。
カードは久保利明王将vs森内俊之九段である。
JTの公開対局に出かけるのは実に久しぶりである。
それもそのはず、聞けば久保王将の出場は3年ぶり11回目ということだ。
当然、彼のお家芸を見たくて、彼の多くのフアンも足を運んだに違いない。


 公開の場での振り駒にて先手を握った久保王将は初手76歩、これに対して後手森内九段は34歩。
続いて1筋の歩を突きあってから先手は66歩と角路を止めた。昔ながらの振り飛車かと思わせるところであるが、後手は32飛と相振り模様に誘った。
 次に、先手は77角か67銀を目指してから飛車を振る手もあるが、注目の7手目は48銀だった。ここで私は「あれっ」と思った。
更に指し手は35歩、46歩、62玉、47銀、72玉と進んだ。先手は47銀で一応3筋の歩交換を防いだので、13手目は飛車を振るものと思ったらなんと68玉だった。
先手は都合、2回振り飛車を見送ったことになる。
振り飛車対抗型における居飛車側は抑え込みという重厚な棋風の人に合って、捌きを主体にした軽快な棋風の人には似合わないのではないか。抑え込みにえてしてほころびが出やすいからだ。
振り飛車好きの私は自然に森内九段の指し手に注目しつつ、後手側を応援していた。将棋は先手が右金を繰り出してから石田組を攻めるという攻防が面白かったが結果は156手で後手の勝ち。


 もし、久保王将が勝ったら次局の熊本対局(9・23)、さらに大阪対局(10・14)というように現地応援に行く予定の私の楽しみは無残に消え去ってしまった。
なにか、某歌手のコンサートに出向いたが期待していた持ち歌のヒット曲を最後まで披露してくれなかったようなそんなもどかしい気分を味わったようでもある。
昨日からの台風5号のように、風と共に寂しく福岡を去った。