ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

竜王戦への期待

 渡辺明竜王への挑戦者を決める第29期竜王戦決勝トーナメントが進行中である。
将棋世界8月号では本戦トーナメントに出場を決めた11人の戦いを前にしてのコメントが載っていた。
1組2位で通過した振り飛車党の代表ともいえる久保利明九段は「初戦で羽生三冠を破って調子がつかめた。一戦一戦準備して自分らしい将棋を指せるよう努力します。フアンの方に、一戦でも多く振り飛車をお見せできればと思います。」とある。


 さて、永瀬拓矢六段に勝利した阿部健治郎七段との対局が7月8日におこなわれた。
先手となった久保九段は初手56歩から中飛車をめざした。阿部七段は2手目84歩と指したため、よくある中飛車戦の駒組となった。
 後手28手目65銀と進出した手に対して、あくまで軽い捌きを目指す先手は56銀とぶつける。
その後、軽い捌きに対して押さえ込みを図りたい後手との見応えある応酬を経て50手目41分の長考で後手は52飛と回った。この飛車を目標に先手は攻めの継続手として61銀と打った。
この銀打ちが勝負手になったみたいだが依然として先手の切れ模様の手が続いた。特に、後手より82手目55角以下の自然な攻め味が続き、86手目36桂と打たれたあたりは先手陣、正直苦しい展開となった。
 終盤は互いに複雑な変化もあり、どうやら後手が決め損なったのではという評価が検討陣のおおかたな見方だった。
よって、先手の逆転勝ちということになるがリアルタイムで見ている分にはスリリングで手に汗握る将棋であった。

 次の相手は7月11日におこなわれる郷田王将vs三浦九段の勝者とあたる。
それに勝てば挑戦者を決める三番勝負となる。
今年、後半のタイトル戦を展望してみても振り飛車戦の登場が期待できるのはこの久保さんしかいないようだ。
過去には挑戦者決定戦まで進んだ実績を持つ。今期はそれより上をという気持ちを持ち続けてほしいものである。

久保vs阿部.kif 直