ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

朝日杯一次予選より

7月15日行われた第15回朝日杯予選より、先手窪田義行7段vs後手藤井猛9段の一戦が相振りとなった。出現するときは続くものである。

 藤井9段といえば相振り御三家(久保9段・鈴木9段とともに)の一員である。一時はこの3人の相振り棋譜を真剣に収集したものである。

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この将棋は相4間飛車で始まった。途中図は先手窪田7段が35手目56銀と上がったところである。互いに角がにらみ合っているのでこれより本格的な戦いとなった。

局面全体が動き始めた。こういう将棋は面白いものだ。後手は一時、玉が5,6筋の中段に引っ張り出されたがなんとか元の位置に逃げ戻る。終盤、後手からの37角と96角が光った。108手で後手藤井9段の勝ちとなった。

今回の詰将棋:15手詰 

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久々の相振り

 相振りの好局がなかなか出現しないのでブログの更新もままならないでいた。

7月14に第15回朝日杯の一次予選がおこなわれて里見香奈女流4冠は村田智弘7段に勝利して、引き続き安用寺孝功7段と対戦し、これが相振りとなった。

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 図は先手が安用寺7段で後手が里見女流4冠。先手が49手目に74歩と突き捨てて95歩と端攻めを敢行した。以下、うまく手をつなぎ後手の美濃囲いを攻略して101手で先手勝利した。相振りにおける美濃囲いは端に弱点があるので端攻めの戦いになることが多い。

 さて、私事ですがコロナワクチンの2回目の接種を受けた。2回目での副作用を心配したが発熱もなかった。医者によると若い人ほど免疫力が強く発熱するものだと聞かされ妙に納得した。ワクチンを打っても感染するときは感染するものらしいが、せめて重症化するリスクはないという効能だけは信じたいものである。

今回の詰将棋:19手詰

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詰将棋の解答(6月ブログ分)

6月1日分*53銀 同銀 41角成 同玉 52金 31玉 53馬 22玉 31馬 同玉 42銀 22玉 33銀生 同玉 32金 43玉 42金右 33玉 32銀成 まで19手詰

6月3日分*72銀 51玉 62と 同銀 52龍 同玉 61銀打 42玉 52金 同角 同銀成 同玉 44桂 43玉 32角 33玉 23金 42玉 41角成 同玉 32金 51玉 43桂 まで23手詰

6月10日分*81銀 83玉 72銀打 同金 同銀生 同玉 61角 63玉 64金 62玉 52角成 同玉 53金入り 同玉 51飛成 52合 64金 まで17手詰

6月13日分*73銀 同金 61角 82玉 83角成 同金 71角 73玉 62銀 同金 同角成 同玉 51銀 73玉 72金 同玉 32飛成 73玉 62龍まで19手詰

6月26日分*82銀 同玉 83銀 71玉 81角成 62玉 54桂 同銀 71馬 同玉 72銀成 まで11手詰

マイナビ女子オープン

第15期マイナビ女子オープンの一斉予選が6月26日に行われた。

 午前・午後に通算3回、12局単位で延べ36局行われた。

最終的に12名が本戦トーナメントへの出場が決まった。

私が特に注目したのは36局の戦型分析である。

25局が振り飛車でうち6局が相振り飛車となった。

25÷36=0.694で約7割が振り飛車戦である。

女流棋士の戦型傾向をある程度裏付けたことになりそうだ。

 その中より長谷川優貴女流2段vs藤田綾女流2段の相振り飛車戦を紹介したい。

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途中図は先手が49手目に56金と上がったところである。これに対して後手は65銀と切りこんで本格的な中盤戦となった。以後、緊迫感のある攻防が続いたが後手が130手で制した。

今回の詰将棋:11手詰

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今年の順位戦はB2だ!

 6月9日順位戦B2の2回戦が一斉に行われた。

このクラスの定員25名のメンバーをあらためて見てみると藤井九段、鈴木九段、戸辺七段など振り飛車党の棋士が八名いる。

8÷25=32%となり、これは他のクラスと比してかなりの割合である。

このほか、ひょっとしたら飛車を振るかもしれないという棋士が3名いる。

谷川九段、大石七段、澤田七段である。加えて相手が振ったら自分も振ってみるという奇特な方がいる。それは井上九段である。女流の棋士に本来、居飛車党だが相手が振ると自分も振るという人がいる。伊藤沙恵女流三段である。

 伊藤が先か、井上が先かだが実戦の数でいけば伊藤さんだろう。

今年の順位戦、私にとって一番の注目クラスはB2だ。

さて、紹介するのは9日行われた対局より井上九段vs鈴木九段戦の一局。

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両者、向かい飛車で始まったこの相振り飛車は先手、囲いが中途半端ななか35手目95歩で戦端を開いた。以下、互いに激しい攻め合いとなったが先手が103手で勝利した。相振り飛車の歴戦の雄に一歩も引けをとらない応戦たいしたものである。こうしたユニークな相振り飛車の使い手はもっともっと増えてほしいものである。

今回の詰将棋:19手詰

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コロナと将棋界

 藤井聡太2冠というスーパースターの出現で活況を呈している将棋界だがコロナの影響をこの2年間等し並に受けた。

 まず、全国各地で開催されるタイトル戦の前夜祭や現地大盤解説会が中止に追い込まれることが多くなり、一部解説会はネットでの配信となった。

 また、アマの世界では各種全国大会も中止が相次ぎそれに伴い地方予選も中止となり、特に上昇思考の強いアマ強豪などが当面の目標を失くすこととなった。今年に入ってから一部大会は工夫をこらしながら復活の気配がある。

 私の好きな詰将棋の世界では「詰将棋解答選手権」「詰将棋全国大会」が中止となったが、これらはマニアックな大会でもありもともと詰将棋は一人で遊べるゲームみたいなものですからそれほど決定的なダメージは受けなかったもののこれらイベントは一部、管理運営をしているので複雑な思い(今秋、全国大会をするかどうかもゆれています)です。

 さて、コロナでよかったと思うことが一つあります。

それはyoutubeで複数のプロ棋士がユーチューバーとして自分の将棋を配信し始めてくれたことです。今までこんなに身近にプロ棋士の将棋をリアルタイムで見ることがなかったからです。特に、F5段、I6段、N7段のサイトをよく見ます。彼らは自らの公式戦では振り飛車戦法を封印されています。それが「負けるまで4間飛車、中飛車sp、振り飛車縛り」などと銘打って振り飛車を披露してくれています。アマ将棋界は振り飛車フアンが多いということを認識されてのことと思い、その点、救いがあるというか将来に希望をつなぐことができそうです。このような傾向は新たな将棋フアンの増加にもつながり、コロナ終焉後もぜひ継続してほしいことです。その他、オンライン将棋大会も行われるなど、急速にSNSの活用が促進された感じがしています。

今回の詰将棋:17手詰

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女流王位戦第3局

 第32期女流王位戦の第3局は福岡県飯塚市で開催された。前夜祭も大盤解説会も中止になったのは残念だった。戦型は先手山根女流2段が向い飛車vs里見女流王位が3間飛車となった。先手が49手目68金と寄ったところで昼食休憩となった。

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再開後の先手は一時優勢に推移していたが後手の鍛えの入った粘り腰に150手で屈した。

 山根さんとしては四国対局へ行けなかったこともきっと残念に思ったことだろう。最短で終わったが熱戦となった相振り3局を鑑賞できて大いに満足している。

 

 さて、将棋界の新年度は5月に本格的に動き始めたが昨年は女流棋戦を除けば「相振り飛車」という戦型がわずか15局しかなかった〈順位戦のデータ)。なぜ男性棋士は相振りを嫌うのであろうか。私としては不思議でならない。今や女流棋戦は振り飛車戦の宝庫である。里見・西山という両輪が引っ張っているかぎり多分大丈夫であろう。昭和40年代、あの大山・升田の両巨頭が振り飛車も指すから空前の振り飛車ブームが到来した。今の将棋界にそれを望むのは当分無理であろう。そういうこともあってか、マイナビに「相振り飛車名局集」を出版する気配がないのは残念である。

今回の詰将棋:23手詰

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