ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

「無双」「図巧」

 文学作品の場合はそうらしいが、そうでなくとも本に名前を付けるのはむずかしいものだ。詰将棋の本も然り。内容を正確に表現している場合、例えば全作品が合駒とか不成とか曲詰とかであれば、それらしいタイトルを付けやすいものだ。しかし、ほとんどが収録作品の一つ一つがそれぞれの特徴を有している場合は考えどころなのだ。

 私の場合、最初の作品集が「詰将棋の道」次に「詰将棋の道2」「詰将棋の道3」とくる。特に3は金無双作品だったので「金無双百番」と副題をつけた。そもそも「詰将棋の道」とどうして名付けたかというと、銀幕のスター・小林旭に「さすらいの道」というお気に入りの歌があり、そこから発想を得たに過ぎない。

 敬愛する故・桑原辰雄氏の作品集は「妙義図式」「赤城図式」「榛名図式」などと続く。群馬県出身の彼が故郷の山々の名を付けたのだ。こういった「〇〇図式」と聞いただけで作者の名が浮かぶようになりたいものだ。

 さて古くは伊藤宗看・看寿の「無双」「図巧」がある。正式には将棋無双・将棋図巧という。なまじ「詰将棋無双」などと云わないことが正解だった。将棋400年の歴史の中でこの二つの名著は現在でもなお光り輝いている。「無双」「図巧」という呼び名は実にシンプルだ。この2文字を見たり聞いたりしただけで、思わず身が引き締まるときがある。詰将棋マニアとはそういうものなのである。

今回の詰将棋:19手詰

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詰将棋の解答(5月ブログ分)

5月1日*51飛 61銀 72歩 同銀引 同桂成 同金 61飛成 同玉 52銀 同玉 44桂 61玉 52銀 62玉 72馬 同玉 63金 71玉 61銀成 同玉 52桂成 71玉 62成桂 まで23手詰

5月15日*81銀 82玉 74桂 同金 63歩成 55馬 71銀 81玉 62銀成 92玉 81飛成 同玉 72成銀 92玉 81銀 91玉 82金 同馬 82成銀 同玉 72と 91玉 82角 まで23手詰

5月19日「*26桂 24玉 44飛成 34角 15金 同玉 35龍 25合 16歩 まで9手詰

女流王位戦第2局

第2局は5月18日札幌市で開催された。

嬉しいことにまたも相振り飛車となった。

先手里見女流王位中飛車vs後手山根女流2段の向い飛車で始まった。

途中図は後手42手目35歩で昼食休憩となった。

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後手は41飛と展開したがその4筋での飛車先に金銀が重くのしかかったいたが64手目に銀を45銀と、72手目に金を34金と捌いて後手の駒にリズムがうまれた。先手はこの34金をみて74分の長考にいたり、冷静に47金左と受けた。以下の攻め合いはきわどい攻防で見所をつくったが先手が余していたようだ(101手で先手勝)。第3局は6月2日に福岡(飯塚市)で開催される。以前、よく前夜祭や大盤解説会へ出かけたものだが今年はどうなるのだろうか。

今回の詰将棋:9手詰

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再びの相振り

 マイナビ女子オープン第3局が5月15日に行われた。期待通り相振り飛車となった。相振りを選択してくれた伊藤さんに感謝。玉の囲いも金無双気味で云うことはなし。先手の西山女王は27手目36飛とまわり、以下26歩でポイントを稼いだようだ。途中図は32手目後手の伊藤さんが22飛と指して昼食休憩に入ったところである。

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 金無双気味といったのは双方とも金無双の完璧な囲いにはならないうちに戦いとなり中盤から終盤へと推移した。先手の西山女王は終始、指しやすい局面が続き97手で第3局を制した。

今回の詰将棋:23手詰

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熱戦の開幕戦

 将棋界の新年度に一番楽しみにしていた第32期女流王位戦が4月27日に開幕した。相振り飛車シリーズになることが本命視されているが、なにより私がそうなることを期待しているところである。

 さて、その第1局は先手・山根ことみ女流2段が向い飛車、後手・里見香奈女流王位が3間飛車となった。

途中図は先手53手目27銀と指して昼食休憩に入った局面である。

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 再開後、57手目に先手は36銀と攻めたが後手に銀3枚をもたれて苦しく感じていたらしい。実際は終盤にはいり形勢は2転3転した。最後は先手、頓死的必至をかけられて屈した。棋譜を備にみて山根さんは強くなっているなとの印象をうけた。やはり2020年度に17連勝をした実績は伊達じゃないということだろう。第2局は5月17日に札幌市でおこなわれる。次局も楽しみにしたい。

今回の詰将棋:23手詰

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詰将棋の解答(4月ブログ分)

4月3日分*63と 同金 81銀 83玉 93金 同銀 73桂成 同金 72銀打 同金 同銀生 同玉 63金 同玉 62金 73玉 71龍 83玉 72龍 まで19手詰

4月7日分*14金 同歩 27桂 同と 16銀 まで5手詰

     初手27桂は14玉で不詰。2手目同玉は16龍以下。

4月21日分*63馬 同金 61銀生 同玉 52銀 71玉 72銀 同玉 63銀成 同玉 64金 62玉 74桂 71玉 72歩 61玉 71金 同銀 同歩成 同玉 72銀 同玉 52飛成 62銀 63金 81玉 61龍 71金 72金 92玉 82桂成 同金 同金 同玉 72金 92玉 81龍 まで37手詰

本来の「相振り」らしさ

 第14期マイナビ女子オープンの5番勝負第2局が4月21日に開催された。

 先手となった伊藤沙恵女流3段は5手目に66歩と止めて裏芸の相振り飛車を目指した。これに対して西山朋佳女流女王は35歩と応じてすんなり3間に振った。第1局では西山さんが相手の相振りを牽制するような指し方をみせたので、どちらもほとんど居玉のまま、みたこともないような乱戦になった経緯がある。今回はよくある手順の相振りとなり観戦していても落ち着いてみることができた。下記途中図は49手目先手96歩で昼食休憩となった局面である。

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再開後は中盤のねじり合いが続いた。後手13角を46角と捌いたあとに73角と展開した指し回しが印象に残る。終盤は一手違いまでになったが後手が102手で本局を制した。次局以降も熱戦を期待したい。

今回の詰将棋:37手詰(手数は長いがよく捌けて収束は清涼詰になります。)

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