ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

キラリと輝くか、新星

12月22日に48期女流名人戦の予選が行われた。

先手:山口稀良莉女流2級vs山口絵美菜女流1級の一戦。

先手の人が聞きなれない名前だなと思い、連盟のHPを見た。

この12月に女流2級としてプロになったばかりの岐阜の高校1年生だった。どうやらこの日がデビユー戦のようだ。

 その将棋を見てみると相振り飛車になった。

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 途中図は後手が48手目に25飛と浮いて、65銀や85桂に狙いを定めたところである。先手、どうするかとみてみると92歩以下攻め合いに活路を見出して端を破りそのまま押し切って111手で勝利した。どうやら攻めっ気たっぷりの振り飛車党のようだ。目が離せない人が現れた。名のごとくキラリと輝くような将棋を指していってほしいものである。

今回の詰将棋:19手詰

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12月14日の朝日杯

午前10時から行方尚史9段vs阿部光瑠6段でその勝者が午後2時から佐藤天彦9段との対局という組み合わせだった。

この日は女流王座戦が一番気になる対局だったので、阿部6段に淡い期待は持っていたものの振り飛車戦はないだろうとみていた。

 ところがふたを開けてみると、阿部6段が四間飛車で行方9段に勝利し、午後は再び飛車を振ってくれた。これに佐藤9段は相振り飛車で応えてくれた。阿部6段、相振りのほうは負けはしたがなかなかうまく指していた。これを契機に本格的な振り飛車党になってくれないかと思ったりしたものである。

 途中図は行方戦との一戦で93手目44角と桂を取ったところで、これに後手は同銀と応じた。先手の次の一手が秀逸だった。43歩!この垂れ歩で先手の攻めが切れなくなった。このあと117手で攻め合い勝ちとなった。

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 ところでこの4間飛車は玉の囲いが端から金無双だった。金無双詰将棋を量産している私にとってはうれしい気分だがシンプルな序盤の駒組みが魅力で振り飛車党になった身としてはやや戸惑いがある。振り飛車に限らずいろんな囲い方が最近はみられるようになった。きっと指し将棋が進化をし続けているということなのだろう。

今回の詰将棋:21手詰

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女流王座戦の決着

12月14日女流王座戦の第5局が行われた。

先手:里見女流4冠・中飛車vs西山女流王座・3間飛車。

第2局の振り飛車対抗型を除けば残る4局はすべて相振り飛車となった。

タイトル戦で振り飛車がそれも相振り飛車が観戦できるとは楽しさ・うれしさを通り越してもはや感激ものである。

さて、昼食休憩時の途中図は先手が55手目26銀と指したところである。

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 上記途中図では先手が指しやすいとみられていた。再開後に後手は端を絡めて37角成ときり、18香成とせまったりしたが先手に93手目21飛と攻防に打たれ、後手は41歩とあやしくねばるも先手の優位は動かないとみられていた。後手の粘り腰はその後も続きついに逆転勝利を引き寄せてしまった。手に汗握るという大熱戦だった。

今回の詰将棋:21手詰

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カド番をしのぐ

12月9日、女流王座戦の第4局が行われた。

先手:西山朋佳女流王座vs後手:里見香奈女流4冠の一戦。

またもや期待通り相振り飛車となった。

先手3間飛車vs後手向い飛車。

途中図は昼食休憩時点で後手が42手目24飛と指したところ。

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 このあと、局面は一時、千日手気味に進行した。先手の28にいた玉が78まで動いたり、後手玉は穴熊に潜りながら自ら這い出してきたりしていた。68手目に後手が63角と打ったあたりから後手がよいのでは見方があったが、107手目あたりで先手の角金銀桂が6筋に集中したあたりでは先手がよくなってきたように感じた。とにかく先手はこの難局を129手で制し、2勝2敗にもどして第5戦の最終局へもつれこむこととなった。振り飛車戦の熱戦を期待したい。

今回の詰将棋:25手詰

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タイトル戦での相振り飛車

12月1日は第10期女流王座戦第3局が開催された。

里見香奈女流4冠vs西山朋佳女流王座の一戦で戦型は相振り飛車

 

8大タイトル戦では相振りどころか、振り飛車そのものが珍しいことだ。

先の王座戦で久保9段が振り飛車で戦ってくれたが敗退した。

その後、久保9段は棋王戦でベスト4まで勝ち進んでいたが、準決勝で敗退し、敗者復活戦にまわっても敗れた。一方、久保9段と菅井8段が朝日杯の2次予選では二人とも敗れ去った。

8大タイトル戦で再び振り飛車が登場するのとコロナ禍が完全終息するのはいったいどちらが先に来るのだろうといたらぬ心配をしていることがある。

振り飛車フアンの興味をつなぎとめているのは女流の棋戦だけになってしまったことはまちがいないだろう。

 

さて、本題に戻って下記途中図は後手西山さんが48手目に84歩と突きだしたところである。同飛なら83銀以下銀冠にする狙いか。

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その後戦局は先手が端攻めをからめてうまく攻めたというか一方的に攻めたおしたという印象で97手で勝利した。後手の3間に振った飛車がほとんど動くことがなかったことが将棋の内容を物語っているようだ。それにしても西山さんの不調は棋譜をみても分かる。早く復調されて以前のように力強い指し手をみたいものである。

 

今回の詰将棋:19手詰(よく捌けて清涼詰になります)

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詰将棋の解答(11月ブログ分)

11月1日分*73桂 同金右 53桂 同金 62香 同玉 71銀 51玉 42銀打 61玉 62銀成 同玉 53銀成 同玉 52金 まで15手詰

11月12日分*81馬 61玉 71馬 51玉 43桂 同金 62馬 同玉 73銀成 同玉 65桂 82玉 64馬 93玉 84銀 同歩 83金 同玉 73馬 93玉 94銀 92玉 83銀成 81玉 82馬 まで25手詰

11月14日分*54龍 44桂 同龍 同歩 36桂 同歩 46馬 同馬 23龍 35玉 25龍 まで11手詰

新しい棋戦始まる

女流将棋の新棋戦が11月13日に開幕した。

第1期ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦である。

8組にわかれて、それぞれ8名によるリーグ戦をおこなう。

 今回紹介するのはB組から加藤圭女流初段vs清水市代女流7段の一戦である。戦型は先手の加藤さんの中飛車で対抗型となった。

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 途中図は83手目54金に対して後手が52金と受けた局面である。43と53の位置に銀がいるが、この後の攻防で銀が2枚とも金に入れ替わるというまるで「入れ替えパズル」を見ているような気分になった。金でいてくれた方が後続の攻めがうまくいったようだ。141手で先手が勝った。そして、何といってもこの将棋は序盤から先手の力強い指し回しが印象に残る。私は加藤圭さんのことをほとんど知らなかった。こういう振り飛車党がでてきてくれたことは本当に楽しみである。

今回の詰将棋:11手詰

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