途中図は56手目74歩の局面である。ここからプロもよく指導する「負けても絶対に指してはいけない手」というのが出現する。それは33角成、同飛、25桂である。角を取り返しはするものの、33桂を結果的に相手の持ち駒にしてしまうことがよくないという考え方である。取った桂やその後入手した角でよほど有効な手段がない限り指してはならない手であり、駒組み段階までの石田組にそのような機会が訪れるはずもない。しかし、何事にも例外というものがある。本局では後手の守備駒がやや上ずっているのが弱点のようであり、交換した角での41角打ちに期待したものである。89手目の一瞬ハットするような45角など、先手が入玉模様の後手の玉をうまく捕えた一局である。
▲33角成 ▽同飛 ▲25桂 ▽32飛 ▲13桂成 ▽同香 ▲41角 ▽22飛
▲76歩 ▽同銀 ▲63角成 ▽同金 ▲83飛成 ▽94角 ▲84龍 ▽83歩
▲95龍 ▽75桂 ▲68歩 ▽82玉 ▲96歩 ▽55歩 ▲同銀 ▽78角
▲84歩 ▽同歩 ▲83歩 ▽同玉 ▲94龍 ▽同玉 ▲95歩 ▽85玉
▲45角 ▽87角成 ▲63角成 ▽79飛 ▲88金 ▽86馬 ▲97金打 ▽87桂成
▲86金 ▽同玉 ▲97角 ▽85玉 ▲87金 ▽89飛成 ▲77桂
まで103手で先手の勝ち。