ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

女流王座戦の決着

12月14日女流王座戦の第5局が行われた。

先手:里見女流4冠・中飛車vs西山女流王座・3間飛車。

第2局の振り飛車対抗型を除けば残る4局はすべて相振り飛車となった。

タイトル戦で振り飛車がそれも相振り飛車が観戦できるとは楽しさ・うれしさを通り越してもはや感激ものである。

さて、昼食休憩時の途中図は先手が55手目26銀と指したところである。

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 上記途中図では先手が指しやすいとみられていた。再開後に後手は端を絡めて37角成ときり、18香成とせまったりしたが先手に93手目21飛と攻防に打たれ、後手は41歩とあやしくねばるも先手の優位は動かないとみられていた。後手の粘り腰はその後も続きついに逆転勝利を引き寄せてしまった。手に汗握るという大熱戦だった。

今回の詰将棋:21手詰

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カド番をしのぐ

12月9日、女流王座戦の第4局が行われた。

先手:西山朋佳女流王座vs後手:里見香奈女流4冠の一戦。

またもや期待通り相振り飛車となった。

先手3間飛車vs後手向い飛車。

途中図は昼食休憩時点で後手が42手目24飛と指したところ。

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 このあと、局面は一時、千日手気味に進行した。先手の28にいた玉が78まで動いたり、後手玉は穴熊に潜りながら自ら這い出してきたりしていた。68手目に後手が63角と打ったあたりから後手がよいのでは見方があったが、107手目あたりで先手の角金銀桂が6筋に集中したあたりでは先手がよくなってきたように感じた。とにかく先手はこの難局を129手で制し、2勝2敗にもどして第5戦の最終局へもつれこむこととなった。振り飛車戦の熱戦を期待したい。

今回の詰将棋:25手詰

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タイトル戦での相振り飛車

12月1日は第10期女流王座戦第3局が開催された。

里見香奈女流4冠vs西山朋佳女流王座の一戦で戦型は相振り飛車

 

8大タイトル戦では相振りどころか、振り飛車そのものが珍しいことだ。

先の王座戦で久保9段が振り飛車で戦ってくれたが敗退した。

その後、久保9段は棋王戦でベスト4まで勝ち進んでいたが、準決勝で敗退し、敗者復活戦にまわっても敗れた。一方、久保9段と菅井8段が朝日杯の2次予選では二人とも敗れ去った。

8大タイトル戦で再び振り飛車が登場するのとコロナ禍が完全終息するのはいったいどちらが先に来るのだろうといたらぬ心配をしていることがある。

振り飛車フアンの興味をつなぎとめているのは女流の棋戦だけになってしまったことはまちがいないだろう。

 

さて、本題に戻って下記途中図は後手西山さんが48手目に84歩と突きだしたところである。同飛なら83銀以下銀冠にする狙いか。

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その後戦局は先手が端攻めをからめてうまく攻めたというか一方的に攻めたおしたという印象で97手で勝利した。後手の3間に振った飛車がほとんど動くことがなかったことが将棋の内容を物語っているようだ。それにしても西山さんの不調は棋譜をみても分かる。早く復調されて以前のように力強い指し手をみたいものである。

 

今回の詰将棋:19手詰(よく捌けて清涼詰になります)

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詰将棋の解答(11月ブログ分)

11月1日分*73桂 同金右 53桂 同金 62香 同玉 71銀 51玉 42銀打 61玉 62銀成 同玉 53銀成 同玉 52金 まで15手詰

11月12日分*81馬 61玉 71馬 51玉 43桂 同金 62馬 同玉 73銀成 同玉 65桂 82玉 64馬 93玉 84銀 同歩 83金 同玉 73馬 93玉 94銀 92玉 83銀成 81玉 82馬 まで25手詰

11月14日分*54龍 44桂 同龍 同歩 36桂 同歩 46馬 同馬 23龍 35玉 25龍 まで11手詰

新しい棋戦始まる

女流将棋の新棋戦が11月13日に開幕した。

第1期ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦である。

8組にわかれて、それぞれ8名によるリーグ戦をおこなう。

 今回紹介するのはB組から加藤圭女流初段vs清水市代女流7段の一戦である。戦型は先手の加藤さんの中飛車で対抗型となった。

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 途中図は83手目54金に対して後手が52金と受けた局面である。43と53の位置に銀がいるが、この後の攻防で銀が2枚とも金に入れ替わるというまるで「入れ替えパズル」を見ているような気分になった。金でいてくれた方が後続の攻めがうまくいったようだ。141手で先手が勝った。そして、何といってもこの将棋は序盤から先手の力強い指し回しが印象に残る。私は加藤圭さんのことをほとんど知らなかった。こういう振り飛車党がでてきてくれたことは本当に楽しみである。

今回の詰将棋:11手詰

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居飛車党の相振り飛車

 11月11日におこなわれたB2順位戦より井上慶太9段vs戸辺誠7段の一戦である。向い飛車対3間飛車となった。井上9段は本来、居飛車党だがごくまれに振り飛車党に対して相振りを指すことがある。将棋の内容は戸辺7段の攻めをしのいだ後に、反撃に転じた井上9段がその後、おしきって143手で勝利した。

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 途中図は132手目に後手が75歩と指した局面である。ここから先手の持ち駒に桂が3枚あることに注目してほしい。133手目先手は74桂と打ち、金と交換し、再度74桂とおかわりの桂で再び金を入手し、更なる74桂で後手を投了に追い込んでしまった。<桂が金気を駆逐する>といった感じで実に印象深い手順であった。

今回の詰将棋:25手詰

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詰将棋サロンの解説号

将棋世界11月号で自作詰将棋が入選したところであるが、12月号はその作品の解説が記載されてる。

 それによると、手順の解説にとどまらず、次のようなコメントを及川拓馬六段は述べられている。

詰将棋作品集を何冊も上梓されている作者。「詰将棋の道3」は金無双の詰将棋のみが収録されており、その問題数と手順の重厚さが特に印象に残っています。>

 なんらかの手段で拙作品集を入手されたようで、かように詰将棋に理解が深いプロ棋士に忌憚なきご批評をいただいたことに率直に感謝したい。

今回の詰将棋:入選作の再掲です。

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