ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

叡王戦に藤井九段

 12月26日に叡王戦本戦の豊島2冠vs藤井9段の一戦が行われた。久しぶりのブログアップだが振り飛車戦のネット中継がなかったからだ。

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 上記図は先手豊島2冠が35歩、同歩、同角としたところ、後手藤井9段が43飛と軽く浮いて受けたところである。この将棋はその後互いに相手の香を入手するなど互角の応酬が続いたが香の使い方が勝負の明暗を分けた気がする。即ち、先手は57香と打ち、寄せの支柱となったが、後手は24香と敵の大駒の侵入を防ぐ役割で終局までこの香が取り残されていた。151手で後手は敗れたが振り飛車戦の攻防は楽しむことができた。

叡王戦に久保九段

12月20日に叡王戦本戦の久保9段vs佐々木5段の一戦が行われた。

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 上記図は先手久保9段の先手中飛車で始まった将棋だが後手は飛車先の歩をなかなか突かないでいた。先手が5筋の歩を交換したのを逆用して28手目後手が52飛とまわったところである。これを契機に5筋を主とした攻防に見所が移った感じである。

  その後、互角の攻防が続いていたが先手が27銀と銀冠をめざした瞬間(49金の連携がはずれた)をとらえて後手の本格的な攻めが功を奏した。106手で後手が勝利した。佐々木5段が長崎県出身なのでやや複雑な心境で本局は観戦していたが棋王戦挑戦へ向けての勢いそのままに、この将棋をまとめられた感じがする。久保フアンとしては仕方がない。佐々木5段にはこの勝利を糧に棋王戦挑戦者決定戦(12月27日)の大一番で持てる力を十二分に発揮してもらいたい。

B1順位戦10回戦

 12月19日標記対局が一斉に行われた。

菅井7段は9勝1敗で首位をキープしたがA級昇級は確定していない。残る対局は2つだが仮に連敗すると2番手の斎藤7段が2敗、3番手の行方9段が3敗で追っていて彼らが菅井さんよりも順位が上だからである。

しかし、マジック1であることに変わりはない。

次の11回戦で菅井vs斎藤戦が組まれており、おそらく今年のB1リーグのなかで最大の注目局となるであろう。対局日は令和2年1月23日(木)である。

羽生九段の振り飛車

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 12月19日はアベマTVで朝日杯の中継の日だった。午前に振り飛車党の高崎6段が登場したが屋敷9段にいいところなく負かされた。その後はもう、振り飛車がない日だなと思いつつ、夜7時の対局の出だしを念のため確認して、他のことをする予定だった。

 すると、羽生9段が四間飛車を採用した。これだから、オールラウンドプレイヤーは怖い。油断もスキも無いといったところだ。最後まで観戦したことはいうまでもない。将棋は先手の屋敷9段が勝った。この二人の対戦成績は一時は羽生さんが圧倒的に屋敷さんをカモにしてというほど引き離していた。しかし、このところ、NHK杯に続いて連敗である。ここらあたりに羽生さんの衰えを感じてしまいそうである。

 

叡王戦に菅井竜也七段

12月11日第5期叡王戦本戦2回戦に菅井7段が登場し、対戦相手は増田康宏6段だった。

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上記図は夕食休憩に入った直前の局面で後手が30手目73桂と指したところである。この後、この将棋は4筋、5筋、6筋でかなり長い攻防が続いたが、先手が終始リードを奪いながら進展し、91手で完勝した。

マイナビで相振り飛車

 12月11日は第13期マイナビ女子オープンの本戦2回戦第3局の先手伊藤沙恵女流3段vs後手甲斐智美女流5段の対戦が行われた。

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 上記図は相手が3間に振ったのを確認して先手は88飛車と向い飛車に13手目を指したところである。

 伊藤さんは相振り飛車になると実にのびのびと指すことが多い。今回の彼女のユニークさは51手目の67玉だ。玉を含め全軍が実に強気に前進あるのみという手の作り方が本日は特に目立った。終始、積極的指し回しで115手で先手が勝利した。

叡王戦に藤井猛九段

12月10日第5期叡王戦本戦2回戦に藤井9段が登場し、対戦相手は飯島栄治7段だった。

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 上記図は先手の藤井9段が41手目に48金直と着手して金無双が完成したところである。この将棋の出だしは先手が角道を開けての4間飛車で後手は相振りで応じた。飯島7段は居飛車党だがまれに相振りを指すことがある。そういう趣向をこらす棋士が何名か存在している。居飛車の将棋はまず見ることがない私みたいな振り飛車フアンにとって、こういった棋士は人となりを知ってもらうという意味で一種の勝ちポイントをあげているといってよい。

 さて、将棋のほうは77桂が敵陣の53に成り込む、文鎮囲いは動ぜずなど先手が相振りでは「一日の長」を示し、83手で圧勝した。