7月下旬に「久保流 最強先手振り飛車」という書籍が日本将棋連盟より発行された。
冒頭、石田流のことにふれ、後半に相振り飛車の記載があるものの、本書の中心をなすものは先手中飛車である。「攻める振り飛車の極意」のサブタイトルのもとに久保九段がやさしく伝授している。そのほか、次の一手が20問、末尾に彼の実戦譜が19局とバランスよくまとまっている。
88ページでコラムの一つとして「振り飛車へのこだわり」と題しての文章から抜粋してまず紹介したい。
「本格的に振り飛車を指すようになったのは、奨励会時代に香落ち対策のために勉強してからです。美濃囲いの固さと美しさに魅了されて生粋の振り飛車党になりました。現在プロ間では居飛車の方が勝ちやすいと考える棋士が多く、振り飛車党から居飛車党に転向する方も少なくありません。・・・・中略・・・・アマチュアの方にとって親しみやすく、フアンも多い振り飛車がプロでも十分通用することを証明するためにも、私はこれからも振り飛車を指し続けたいと思います。」 → いや、この言葉にはグッときましたね。本格的な振り飛車党の棋士が少ないなか、将棋そのものが強い人が指してくれないと振り飛車の灯そのものが消えかねないと常々思っています。特に、最近はタイトル戦でさっぱりお目にかかれないのが残念です。さて、相撲に例えると、居飛車の将棋は押し・寄りの世界で、振り飛車は上手投げ・下手投げなどの技の世界だと思っています。詰将棋の作品でも古今の名作は攻守の技の応酬から生まれるものであり、厚みで押すような寄せは作品そのものになりません。詰将棋作家は振り飛車党の人が多いと勝手に思っていますが、実は詰将棋好きな人は指し将棋を敬遠する人が多いので何とも言えません。
今回のブログでは先手中飛車に限定して本書のなかで紹介された棋戦の全棋譜や巻末の実戦譜(この19局に当然とどまるものではない)を補完するものとして、さらなる棋譜を紹介してみたい。久保流の実戦譜を数多く並べることによって本書の理解に役立てていただけたら幸いである。なお、相振り飛車については、ストンリバーの「相振り好局選」を現在連載しているが、先で久保流相振り飛車の実戦譜を特集して組んで見たいと思っている。
第3章 先手中飛車、後手54歩型(P52〜P87)
P80に前田流の解説がある。
本人、前田八段の実戦例を一局紹介する。
前田裕司八段vs高見泰地五段 第25期竜王戦
第4章 先手中飛車、先手55歩型(P89〜P101)
升田幸三九段vs熊谷達人八段 S39A順位戦・・・・・P92
升田vs熊谷.kif
鈴木大介八段vs中村修九段 70B1順位戦・・・・・P95
鈴木vs中村.kif
鈴木大介八段vs青野照市九段 朝日オープン・・・・・P96
鈴木vs青野.kif
第8章 自戦解説・補遺(P197)
<先手中飛車、後手54歩型>の実戦譜追加
久保利明九段vs西川慶二七段 76期棋聖戦
久保vs西川.kif
久保利明九段vs日浦市郎八段 49期王位戦
久保vs日浦.kif
久保利明九段vs深浦康市九段 57期王将戦
久保vs深浦1.kif
久保利明九段vs西尾明六段 78期棋聖戦
久保vs西尾.kif
久保利明九段vs丸山忠久九段 65期A順位戦
久保vs丸山1.kif
久保利明九段vs丸山忠久九段 57期王将戦
久保vs丸山3.kif
久保利明九段vs丸山忠久九段 56期王将戦
久保vs丸山4.kif
久保利明九段vs深浦康市九段 59期王将戦
久保vs深浦2.kif
久保利明九段vs行方尚史八段 銀河戦
久保vs行方2.kif
久保利明九段vs稲葉陽七段 7回朝日オープン
久保vs稲葉.kif
<先手中飛車、先手55歩型>の実戦譜追加
久保利明九段vs福崎文吾九段 55期王座戦
久保vs福崎.kif
久保利明九段vs北浜健介八段 67期B1順位戦
久保vs北浜.kif
久保利明九段vs行方尚史八段 57回NHK杯
久保vs行方1.kif
久保利明九段vs丸山忠久九段 63期A順位戦
久保vs丸山2.kif
久保利明九段vs屋敷伸之九段 67期B1順位戦
久保vs屋敷1.kif
久保利明九段vs屋敷伸之九段 79期棋聖戦
久保vs屋敷2.kif
<いきなり向かい飛車>の実戦譜追加
久保利明九段vs木村一基八段 71B1順位戦
久保vs木村.kif
久保利明九段vs行方尚史八段 72A順位戦
久保vs行方3.kif
久保利明九段vs羽生善治四冠 H25JT杯決勝
久保vs羽生.kif