ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

詰将棋作家の風格

 よく関西方面へ旅に出る。関西の地は私が青春時代の4年間を過ごした土地でもあり、その郷愁と共に、ここ数年、大阪へ呼ばれているという感じなのである。

 梅田界隈を歩いていると、私に地元の人、然とした風情というか風格が漂うのであろう、観光客と思しき人から時折道を尋ねられる。その内容が有名ホテルや地下鉄の乗り方なので、今のところ「分かりません」と答えたことはない。九州弁を交えた応対に相手は不思議な表情を浮かべながら立ち去る。

 さて、詰将棋作家の風格というものがあるとしたら、いったいどういうものであろう。

 指し将棋の終盤の寄せで、これは変化別詰の詰まし方があるとか云って、相手を煙に巻くことがあるが、とうていそのようなことではないはずである。詰将棋の話題を空中で論じ合っているとき、一瞬その話しについていけなくなったとき、相手の力量に目を見張ることがあっても、これもまた風格云々でもなさそうだ。

 この春、詰将棋パラダイスの同人作家になったことを機にこれからはあまり凡作の類いは作れないなと思いつつ、ふと背伸びして詰将棋作家の風格ということに思いを巡らしただけのことであり、この世界でこの種のことが話題になったことは一度もない。もしあるとすれば、詰将棋の世界が分かるようになった人が超一流作家に抱く一瞬のひそかな感情みたいなものなのかも知れない。そんな気がする。