書店で引きつけられるように手にしたのが標記の単行本。
「ケア」とは近年では介護という言葉を思い浮かべるが、ここでは育児もそうであるように「他者のニーズに応える行為」という広い意味でつかわれる。
「惑星」とは宇宙の話しではなく地球(人)という意味でつかわれている。
実はこの本の目次を見て少し驚いたのである。
14章からなる柱に半分近くがヴァージニア・ウルフの本の名が並んでいた。
ヴァージニア・ウルフはとにかく難しい。
私は「評論」と「ある作家の日記」から読み始めた。
モダニズム期の「意識の流れ」の手法を用いた小説はやっかいだ。
短編小説ですら読後何を言いたかったのか分からないこともあった。
そういった作品群をケアの論理で解読してくれたこの本は素晴らしいの一言に尽きる。きっと、神谷美恵子(故人)さんも感嘆していることだろう。
文学の一つの見方、捉え方として興味を持って手にした本だが実は大切な一つのテーマ(ケアの視点)が全編を流れていることを読み進むうちに知ることになる。そして本書を読破したときには現代社会がかかえる問題提起に遭遇することになる。
今回の詰将棋:31手詰(私も負けじと難しい作をと思ったがよく捌ける中編)