ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

どちらがでてきても倉敷で相振りを!

 9月25日は第24期倉敷藤花戦の挑戦者を決める大一番の日。
甲斐智美女流5段vs伊藤沙恵女流2段の決定戦である。
甲斐さんだと里見5冠とはこれまで数多くの女流タイトルを競った仲である。
伊藤さんだと今春の女流王位戦に続くカードで相振りが期待できる。
 指してる当事者は真剣だろうが、こちらとしてはこれほど気楽に観戦できる対局はめったにない。
なんとなれば、どちらがでてきても、振り飛車の面白い将棋が期待できるからだ。
 AbemaTVでも新4段ばかり追いかけるのではなくて、たまには女流の世界にもスポットをあててもらいたいものだが、本日はパソコンのネット棋譜中継を静かに見る。


 さて、本譜は振り駒で先手が甲斐さんとなり、戦型は意外や相居飛車戦となった。これは伊藤さんが相手が居飛車なら自分も居飛車、相手が振るなら、相振りにするという独特の棋風のためだ。すなわち、甲斐さんが相振りをさけたとしか思えない。
矢倉の戦型から46手目後手が65歩と開戦した。これに対して先手は75歩と切り返す。後手はこれを同歩と応じてから一気に激しい攻め合いとなった。65手目77同玉と入玉模様に上がられてからどうなるかと思っていたら55歩以下、うまく手をつないだ。およそ手順にゆるみがない、最善手の連続のような後手の攻めは細いながらさすがと思わせられる。
 しかしながら、73手目先手が83桂と辛抱してから、局面があやしくもつれ始めた。それからの攻防は後手が110手目75角と打ったあたりでは後手に勝機がおとずれてしまった。118手で後手の勝ち。甲斐さんの敗因は相振り飛車を避けたことにあるのではないか。甲斐さんは居飛車よりも振り飛車の方をうまく指されるのでそう思われるゆえんである。

 伊藤さんの将棋はみていて面白い。独特の伊藤ワールドを展開してくれるからだ。
例えが適切かどうかわからないが、始球式で稲村亜美の投げるあざやかなボールを見る思いがする。華がある。魅せられる。おお、やるなと思わせられるのだ。
 里見5冠との3番勝負が楽しみだ。戦型はもちろん、相振りを期待する。
今年も行きます、倉敷公開対局(11月26日)。