ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

2度あることは・・・JT杯

 今年のJT杯は出場する12名の棋士に真正の振り飛車党がいなかったために、公開対局に行ってまでみたいという対象でなかった。
 2回戦も終わるころに、私にとって実に興味深い指し回しを魅せる棋士が現れた。佐藤康光九段である。7月30日に開催された1回戦第4局(静岡大会)対森内九段戦と9月24日に開催された2回戦第4局(岡山大会)対三浦九段戦の2局の対局開始早々の局面を見ていただきたい。


 この角交換向飛車は振り飛車側の挑発(馬を作るなら作ってみよ)とこれに応える居飛車側の呼吸が整わなければ成立しない。
 古くは大野源一九段の将棋に見られ、一時は全盛時代の大内延介九段が時折指していたように記憶する。

 さて、佐藤九段の次の相手は豊島七段である。
10月8日(土)大阪大会で準決勝第2局となる。
2度あることは3度あるのではないかと、この歴史的?珍記録ともいうべき対戦をぜひ見てみたいものだと思い、佐藤九段を応援に大阪へ行ってきました。

公開の場での振り駒がおこなわれましたが、残念ながら佐藤九段は後手番となりました。
後手番ながら自ら角交換を行い、ダイレクト向い飛車にふったところ、先手に65角と打たれたのが次の図です。

このような将棋もよくあると云えばよくあるのですが当初、思惑の向い飛車とはやはり戦い方がちがいます。
でも将棋の内容はなかなか私にとっては面白かったのですが93手で豊島七段が勝ちました。
佐藤九段の敗因はJT杯快進撃の先手向い飛車ができなかったことにつきると思います(変な見解ですが)。
なお、会場で「次の一手」となったのは37手目の先手豊島七段の着手を問われました。(下写真)

豊島 vs 佐藤.kif 直