ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

万葉倶楽部

 神戸に「神戸ハーバーランド温泉 万葉倶楽部というアミューズメント施設がある。
24時間営業の温泉施設で、大浴場を始め、岩盤浴、食事処、無料上映の映画館など、さまざまな楽しみ方ができるとうたっている。
 その場所で、ときおり将棋のイベントが開催されていたのが以前から、気になっていた。
「第8回 将棋指導対局トークショー IN万葉倶楽部が開催された。
参加棋士菅井竜也七段と船江恒平五段である。ともにお気に入りの二人だったので、ものは試しとばかりに行ってきた。


 9月25日(日)午後の開演である。司会は二人の師匠に当たる井上慶太九段が務められた。
まず、3人によるトークショーがあったが、メインは公開対局と指導将棋である。

1 菅井竜也七段 vs 船江恒平五段
トークショーがすんで、二人による初手から持ち時間10秒の「目隠し将棋」の公開対局となる。
対局が始まる前に船江五段が「目隠しは先手が有利だ」みたいなことを云っていたがそれがなぜなのか明確な説明がなかった。将棋の図面の貼り方など全て先手側から見やすい、覚えやすいような作りとなっているので、それらが頭の中の影像としても捉えやすいということなのだろうか。詰将棋の図面を例に考えてみてもそうなので、多分そういうことなのだろう。
さて、先手となった菅井七段は得意の中飛車を採用したが、76手と意外と短手数で決着した。
局後49手目75角のところ、57角と勝負すべきだったかと菅井七段の敗因の弁があった。

菅井 vs 船江.kif 直


2 船江恒平五段 vs 菅井竜也七段

10秒将棋で短手数決着とくれば、当然ながら予定の時間が余るので、普通(目隠しでない)の10秒将棋をしようということになった。それがこの対局(2局目)である。フアンにとってはもう一局観ることができて得をした気分である。
 後手番となった菅井七段は四間飛車を採用したが、図より中飛車に振りなおして5筋から逆襲し、飛車切り英断の一手を交えて寄せきった。

船江 vs 菅井.kif 直


3 ストンリバー vs 船江恒平五段 (飛香落ち指導対局

 指導対局は事前に申し込みがあった24人が2人の棋士に分かれてそれぞれ思い思いの手合いで教えを受けた。

 私は船江五段より飛車香落ちで指導を受けた。局後、上手は下手が振り飛車党であることをうっかりして、序盤の駒組みを安易にしすぎたみたいなことを云っていたが、それが分かっていたからといって下手の石田組を拒むことはムズカシイものだ。
 
 ところで二人は初手合いだが、なぜ上手は下手が振り飛車党であったと気付いたかというと私には詰将棋の作品集があり、その収録作品のなかに金無双を始め、振り飛車党に参考になりそうな実戦型作品が数多くある。それらを彼がちゃんとみてくれていたという証しであり、その点、詰将棋作家にとってはうれしい限りである。

 さて、将棋のほうは図より下手が気分良く攻めたが、収束に複数の寄せ方があったこともあり、その選択を誤って逆転負けを喫してしまった(105手で上手勝ち)。 

ストンリバー vs 船江.kif 直


 万葉倶楽部での将棋のイベントだがメインの将棋の合間に、入浴その他の娯楽施設を一日楽しめる環境が整っていた。一度は行ってみる価値がありそうだ。この日、個人的には二局も振り飛車戦を観ることができるなど、またプレゼント抽選で井上九段のサイン入り新刊書を頂戴して帰ることができたので十分満足がいく半日であった。