ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

タイトル戦の1年を振り返る

 春は名人戦から始まってと、会計年度的に物事をとらえるのが一般的だが、こと将棋界に対しての私の見方は暦年でとらえることが多い。旅好きなので1年のスパンを考えやすいのかもしれない。
 年の始めの1月の「王将戦」からスタートして、ほどなく始まる「棋王戦」。春の「名人戦」に夏の「王位戦」「棋聖戦」、それから秋の入り口からの「王座戦」を経て、秋のたけなわ・晩秋の「竜王戦」が7大タイトル戦の大まかな日程である。


 タイトル戦は5番勝負か7番勝負であるが、竜王戦が第5局で終わったようにまちまちであるが、フルセットに近くなるほど興業的にも面白い。近年ネット中継でも楽しめるようになったこともあるけれども、振り飛車戦が期待できないシリーズばかりだったので、現地の解説会や前夜祭などにあまり行く気はしなかった。この傾向は公開対局であるJT杯にも云えた。あの選抜された12名の棋士の誰が飛車を振るというのだろうかという思いで、今年はどこの都市にも出向かなかった。


 事実、7棋戦にかかる実対局数34局に対して、振り飛車が登場したのはわずか3局だった。率にして0.088で銀行預金の利率より高いが、まことに寂しい限りである。
横歩取りのような難解な将棋でプロの芸を披露しあう「名人は危うきに遊ぶ」という精神でもいいのだろうが、たまには将棋フアンが楽しめるような対局もみてみたいものである。私みたいな中途半端な指し将棋フアンが言ってみても詮無いことではあるが、純粋振り飛車党が活躍してくれないことにはどうしようもないことだけは重々承知している。もし、対振り飛車に強いというCOMの存在が暗い影を落としているとしたら、それは本末転倒だろう。そういったものにも打破すべく立ち向かうのがプロの心意気といったものだと思うからである。ああ、大山名人が君臨していた時代が懐かしいと終わってほしくない将棋界。・・・と今年を振り返りつつも、時は無情に流れゆく。ところで、12月4日王将戦への舞台登場を果たせなかった振り飛車党。これで来年もなんとなく寂しいスタートとなりそうです。


できるだけ将棋には客観性をもって臨みたいけど「魅かれてしまう」あの不思議。
久保さんに 菅井つくように 飛車よ戸辺
3人の活躍をばりばり、なむなむ。