ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

夏は王位戦

 6月8日、王位戦の挑戦者を決める戦いがくりひろげられていた。
ネットの画面を見つめつつ、菅井六段をひそかに応援していた。
先手番を握った彼は期待通り、飛車を振ってくれた。
左右ばらばらであった金銀がやがて右辺では美濃となり、左辺のお荷物とならないかと思われた金銀も捌けて、81飛〜83角と打った局面あたりからは振り飛車いけるのではないかと思ったものだ。
それにしても、広瀬八段の35桂、66桂という二つの桂の使用はすばらしかった。
惜しむらくは、最初の35桂を打たれたあたりでは時間を十分にあましていた先手はもう少し腰を据えて読みを入れても良かったのではないかと素人ながら思うが、詮無いことだろう。


 それにしても、中継ブログでの終局後における菅井六段の肩を落とした映像にはその意気消沈ぶりがこちらにもひしひしと伝わってきて痛々しいほどだ。彼の場合、将棋は負けて強くなるという段階ではすでにない。こういう一番をものにしないと一流の棋士にはなれないものだ。先の昇段祝賀会でフアンの一人として、来る「ひのき舞台」への夢の可能性に対して並々ならぬものを感じていただけに彼の無念さが我が身の如く、響いてきて仕方がないのである。


 さて、ほどなくして王位戦の日程が発表された。広瀬八段にはせめて二局ぐらいは「振り飛車穴熊」(得意戦法の一つ)の作戦で臨んでほしい。そして、興行的には少なくとも第5局の徳島対局までは進んでほしい。先の女流王位戦では第4局の徳島対局が流れてしまったので、徳島というか、四国の将棋フアンのために真剣にそう思う。また、7大タイトル戦のうち、この王位戦だけがニコニコ動画の中継がない。私は将棋界7不思議のひとつだと思っているのだが・・・。したがって、夏の王位戦は熱く、静かに進行するだろう。


第56期王位戦七番勝負日程
第1局 7月7・8日  愛知県「銀波荘」
第2局 7月21・22日  神戸市「中の坊瑞苑」
第3局 8月5・6日  釧路市「六園荘」
第4局 8月18・19日  福岡市「ホテル日航福岡」
第5局 8月26・27日  徳島市渭水苑」
第6局 9月8・9日  神奈川県「陣屋」
第7局 9月29・30日  神奈川県「陣屋」