ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

文藝春秋「脳を鍛える」

文藝春秋10月号が発売されて、特集記事が「脳を鍛える」である。
その項目の一つに「専門家が教える脳トレの技術」があり、渡辺明竜王が登場している。
抜粋してそのインタビュー記事内容を紹介したい。


 昨年の対局数は61局。二日制の日も入れると約100日ほど対局日だった計算です。棋士は将棋に勝つのが仕事なので、本来的にはその他の日には何をしてもいい。でも、遊んでいればいいわけではない。やはり日頃から棋譜や定跡、手筋などを研究します。全てを記憶するというより、部分部分の重要なところを理解すると云う感じです。


 対局における脳の使い方も、最初から100%というわけではありません。序盤はある程度好みの戦型にもっていけるかどうかというところですから、脳は10〜30%ほどしか使わない。


 本当に激しく脳を使うことになるのは、たいてい中盤から終盤です。どの手が正しいかという純粋な技術、読みの考察になる。こうなると80%から100%脳を使うことになり、ときに激しく消耗します。われわれプロ棋士だと、長考となれば、十手先を十パターン、つまり百手ぐらいは考えるものです。ただ、むやみに読み手を広げて考えても意味がないし、「読み抜け」も出るかもしれないので、あるセオリーの中でパターンを考えていく作業です。こうした長考の時や終盤などでは自分でも気がつかないくらい汗をかいていたり、顔が熱くなっていることがあります。おそらくそれだけ脳を酷使しているのでしょう。


 脳の休め方も最近は型ができてきました。最近はサラリーマンと同じように土日だけ休む。対局は平日の開催ですし、日曜日は子どものサッカーの付き添いなどもある。正直に言えば、土日は競馬に集中していることが多いかもしれません。ここでも長考していることがあります。でも、これは趣味なので疲れることはありません。


 読んだ感想として、プロ棋士の脳の使い方は渡辺竜王に限らず、概ねこのような感じであろうと思う。脳の休め方については、対局日を見据えて調整している棋士もいることだろうし、渡辺竜王独自の脳の休め方かもしれない。