ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

王位戦の前夜祭に行ってきた。

第54期王位戦第4局が8月8日・9日に博多のホテル日航福岡で開催される。

例年、王位戦シリーズは九州で対局が組まれているので、九州の将棋フアンとしては有難いところである。

7日の前夜祭と9日の大盤解説会は対局場とはちがう、JR博多シテイの9階にあるJR九州ホールでおこなわれる。

羽生善治王位と行方尚史八段(挑戦者)の両対局者を始めとして、立会人が藤井猛九段、副立会人が広瀬章人七段、解説会の聞き手を務める清水市代女流六段などが来福されている。

さて、前夜祭は予定通り午後6時より始まった。会場内を見廻すと約120人ほどだった。
冒頭、西日本新聞社社長、福岡市長、JR九州社長の各挨拶に始まり、次に出席棋士の紹介があった。


棋士の方々は先に記載した主役たちに加えて記録係りの伊藤和夫三段、島朗九段、森下卓九段、豊川孝弘七段、中田功七段、村田智穂女流二段などである。参加棋士が多いのは昼間福岡市で開催されたJCOM杯3月のライオンこども将棋大会関連の棋士たちによる飛び入り参加の影響である。

両対局者への「明日の対局に向けて」の決意表明や花束贈呈などを経て、前夜祭の後半は藤井九段、広瀬七段、清水女流による明日の展望と題してミニ座談会があった。


二人の決意
 羽生王位:フアンに喜んでもらえるような、プロにもすごいと思わせるような将棋を指せるように全力を尽くしたい。
 行方挑戦者:第3局での勝利を反抗のきっかけにしたい。暑い日が続くが、盤上でも熱い、燃えるような戦いをしたい。


三人の会談


 行方八段の心理分析について、藤井九段は「2連敗したときに、3局目はきっと自然体で臨んだのだろう。1番入ったので、透明感のある将棋が指せるか、それに先手番であるのでもっと欲がある将棋を指すかどうかが鍵である」と述べられた。
 また、戦型予想については清水さんが「羽生さんが後手番なので振り飛車がでるのではないか」と云うと広瀬さんは「振り飛車の可能性は3割ぐらい」と述べる。最後に藤井さんが「8月3日に将棋祭りがあり、羽生さんの対局の解説をしたが、私に配慮してか飛車を振って負けてしまった。そういう意味で振り飛車は予想しにくい。今までどおり、居飛車ではないか、両者ともに絶好調なのできっと良い将棋が見られるでしょう」と話しをまとめた。


行方尚史八段
 今回、前夜祭に行ってみようと思い立った動機の一つが実は行方八段に会ってみたかったのである。積極的に名刺交換をしながら、詰パラの担当をしていますと申し上げたら、彼は「お名前は以前より存じ上げています。これまで事前に抱いていたイメージと違う感じがしております。詰パラはいつも拝見しております。」とおっしゃられた。
 行方さんは己が感動した詰将棋は奥さんに語って聞かせるほどの詰将棋通であり、例年春に開催される詰将棋解答選手権のチャンピオン戦にはよく出場いただいているほどの、詰将棋の良き理解者である。彼は振り飛車党ではないけれども、詰将棋つながりで素直に今シリーズは応援している旨を申し上げた。私に対する事前のイメージがどんなものだったのか聞き忘れたが、もっと恐持てのイメージをきっといだかれていたのかも知れない。実際に会ってみると、やさしそうな人生の一先輩だという印象を持たれたとしたら、それにしくはない。