ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

朝日杯オープン戦プロアマ一斉対局(伊ヶ崎アマの場合)

 第6回朝日杯将棋オープン戦予選のプロアマ戦9局の一斉対局が去る7月7日におこなわれ、アマ4勝の大健闘に終わったことは周知のことである。
 その貴重な勝利の一翼をになったのが長崎県が誇るアマ強豪・伊ヶ崎博五段である。彼の場合は、県代表というより今や九州を代表する強豪でもある。
 夏の全国高校野球ではないが、その勝利を記念し、私のブログでもその棋譜等を記録として残しておきたいと思う。
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7月18日付け「週刊将棋」の記事より

伊ヶ崎アマは相矢倉となり一昔前に流行した形に誘導した。彼の秘策だったようで先行してペースを握ると優勢のまま第1図を迎えた。ここで35歩と打ったのが、大駒にカツを入れる好手。佐々木勇気四段は「これで投了級です」と観念した。35同歩なら同角が成銀取りと62角成を見ており、後手は収拾がつかない。実戦は22銀だったが、34歩、38歩、49飛、48歩、同飛、同馬、同角から伊ヶ崎アマが新鋭を攻め倒した。佐々木四段に「悪い手を指した覚えはなかったのですが。今の段階では敗因が分かりません」と言わせるほどの快勝だった。
 二度目の公式戦で、対プロ初勝利。緊張することは一切なかった。教わる気持ちで盤に向かったからだと語る。「対戦が決まってから佐々木さんの棋譜を並べましたが、すぐに勝ち目がないと分かりました。いつの間にか自信のある局面になっていて・・・。勝てたのはラーキーというかそれにつきます」と振り返った。

7月11日付け「将棋教室秀楽」の掲示板より

伊ヶ崎アマは「秀楽」の掲示板へ次のような書き込みをしている。
「実はあの将棋は最後の方で私が詰みを逃してまして・・・。感想戦が終わってから昼食を食べていたときに気がついて愕然としました。結果こそ幸いしましたがやはりまぐれだったと今は妙に納得しています。次回、堀口先生との対局は貴重な経験ですから思い切ってぶつかってみます。」とある。
 さて、詰みがあった局面とは如何と私みたいに詰将棋マニアは大いに気になるところだ。終盤を検索してみると、どうやらそれは第2図で後手が116手目に31香と指した手に対して、43歩と指した場面のようである。ここでは33銀とぶち込み、33の地点で全部の駒を精算して25桂と打って以下、並べ詰みである。詰将棋の素材にもなりようがない終始一貫した俗手攻めの連続である。本来、指し将棋派の人はこういった手順は得意なはずだが、あの異様な対局環境の中ではやむを得ないのかもしれない。

堀口一史座七段との次回対局は8月16日に東京の将棋会館でおこなわれる。
第1局と同様、教わる気持ちという思いを大切にして、善戦を期待したい。