ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

詰パラ小学校「選題の言葉」補遺

 11月号選題の言葉における先手56歩からの中飛車VS32飛などの相振り飛車は、少なくとも昭和50年代には全く見られなかった指し方といっても過言ではない。この指し方は、現代のごきげん中飛車の流行と密接に絡んでいる。本来、後手番の戦法であるごきげん中飛車も、先手で飛車を振ることができるということになれば、これにこしたことはない。でも、先手76歩、後手34歩に56歩とでも突くと、いきなり、角交換されて57角から馬を作られる。これはこれで、全く別の将棋になってしまうからである。だから、いきなり56歩と突く指し方(原始中飛車を目指すアマチュアみたいな指し方に最初は驚いたものだ)が生まれたのである。
 私は振り飛車党で相振り飛車も好んで(やむを得ずというべきか)指す。プロ棋譜を中心に相振りデータも約1300局、棋泉に入力収集している。さて、そのデータの分析だが、この指し方の相振り実戦例が約100局あって、中飛車側の勝局が45で勝率5割を割っている。多分、収集もれの棋譜があるかも知れない。しかしながら、それらの棋譜において中飛車側が爆発的に勝っているとはとても思えないから、選題の言葉のような表現になったのである。
 この戦型は最終的な結論を出すにはデータが不足していると思う。相振りを良く指す久保二冠や鈴木八段なども、時折この指し方をされている。しかし、なんといっても、この道の大家・近藤六段が約30局実戦例があるが、ほぼ指しわけである。もともと、定跡らしいものが確立しにくい力戦調の相振り飛車ではあるが、もう少し本件に関しては実戦例が積み重ねられていく中で注視且つ研究していくべきものと思います。
本日の詰将棋:5手詰