ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

Com将棋と戦うには

文藝春秋オピニオン 2015年の論点100』というムック本がこの12月に販売されている。
現代日本が抱える100の課題が論点である。
その一つに「最強の敵コンピューター将棋と戦うには」というテーマで渡辺明二冠が寄稿されている。


Com将棋の現状と強さに関しては将棋フアンとしては周知のことですので、この寄稿文の後半部分を一部紹介したい。
コンピューター=Comと略記する。

<Comとの勝ち方の一方法>
もしComに勝つとすれば、序盤からComに気づかれないうちに「定跡」に誘導して勝ちパターンを作るのが最有力と言える。ただ、それは将棋というよりテレビゲームの攻略法探しです。ですから私はComとの対決は人間同士が指す将棋とはまったく別のジャンルだと考えています。


<Comが将棋の「解」を出してしまうのではないか>本来、将棋は81ます40枚の駒が作る盤面のゲームだから、原則的には「有限のゲーム」であるが、実際には、その指し手は10の220乗ともいわれるほどの宇宙的な数にのぼり、このことが無限のゲームたりえた。ところがCom将棋の進歩により、ついに将棋に「最終解」が出てしまうかもしれない。少なくともどんな局面でも即座にどちらかが優勢か正確に判断できるようになる可能性があるでしょう。


<彼自身の出番はあるのか>
Comの進歩という現実、そして今の実績を考えると、「Com vs 人間」どっちが強い、という問いには、多分この10年くらいで「結論」は出てしまうと感じています。この先、私にもComと指す機会があるかもしれませんが、そのときは「結論を出す」役割を果たすことになるかも知れません。


<プロ棋士への課題>そもそもComで正解がわかってしまうのに、プロの対局を観戦してくれるフアンはどれくらいいるか。「人間にしかできない」と言われるような勝負とは何か。これらは、これからのプロ棋士に求められる大問題になるでしょう。


*以上が要旨ですが、仮にComの進化した時代が到来しても将棋を指すこと自体の面白さは変わらないとも彼は述べられていました。
人間と云うのはなんであれ、思考するという過程が特徴というか大切・貴重であると思います。私自身、詰将棋を作ったり解いたりするのでその点、よく理解でき、将棋のもつ面白さは永遠に変わらないんだろうなと思います。