ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

将棋世界3月号と講談社刊「将棋の天才たち」

将棋世界3月号は米長邦雄永世棋聖の追悼特集号となっている。

冒頭の内館牧子さんの随筆を筆頭に30人余の方が追悼文を寄せている。

特に印象に残ったのは高崎一生六段の追悼文に登場する「隣人の引っ越しエピソード」である。
勝負師として「運」というものを彼が如何に大切にしてきたかの一端がよく表わされている。


週刊現代の米長コラムは以前より、よく読んでいたが講談社がこうして一冊の本にまとめてみるとなかなかの出来映えである。
序文に谷川九段が後書に羽生3冠が追悼文を寄せている。

週刊誌のコラム・随筆の類いは後ほど文庫本になることが多いが、今回このような対応の早さには目を見張るものがある。
講談社の編集部関係者が解説(後書き)文を掲載するとなお、良かったのではないかと思う。
一時、両者には確執があったのでは思われる節があるのでなおさらそう思う。


米長棋聖は病気が分かってから「生あれば必ず死がある」ということをしかと受けとめられたのではないだろうか。
その後は如何にすれば現実にひしがれぬ背骨と自由な精神を保ち続けられるかという一事にあると思う。

私はよく米長棋聖を作家・故「立原正秋」に重ね合わせることがあった。
それは決して風貌からではなくて、ともに「人生を常に勁く生き抜いてきた」姿勢に心動かされるからである。