ストンリバーの日記

「詰将棋パラダイス」同人作家が語る将棋一般ブログ

文藝春秋3月号

芥川賞の発表号の文藝春秋は入手するようにしている。

その3月号に俳優の佐藤浩市さんと羽生善治9段の対談記事が見開き2ページで掲載されていた(三井住友信託のPR記事の一環)。

タイトルが「経験値を次の一手にかえてゆく」。

その中より一つの問答を紹介したい。

佐藤:「将棋も若い人のほうが有利な部分がある気がするけど、今の羽生さんの方が絶対に強いと思えることってどんなことですか」

羽生:「それは経験値というか、経験値みたいなものをどこまで具体的な技術に置き換えられるか、というようなことかなと思っていて。例えば落語家さんとか画家さんとか、年齢が上がらないと描けない作品があるという世界もあるし、スポーツなど、若い人のほうが有利な面がある世界もある。将棋は一応両面がある世界だと思うので。だから、こっちの部分をどう引き出していくかということなのかなと思っています。」

以上です。

 

因みに詰将棋の世界は俄然、経験値がものをいいます。

今回の詰将棋:9手詰

 

B2順位戦より

2月8日に第81期B2順位戦の9回戦が行われた。

そのなかより、高崎一生7段vs藤井猛9段の一戦。

先手向い飛車vs後手3間飛車となった。

振り飛車党同士の一戦はひそかに相振り飛車を期待するものだ。

しかし、こういうカードは妙に振り飛車を牽制しあうことがあるが、棋風を貫いてくれると真の振り飛車党だという気がしてくる。

確立されていないという相振り飛車の定跡に少しでも実戦を積み重ねようとする姿勢が感じられるからだ。

将棋は高崎7段が117手で勝ったが、それぞれに見所があった内容で満足している。

今回の詰将棋:21手詰

 

女流名人戦第3局

 2月5日に第49期女流名人戦第3局が「関根名人記念館」で行われた。

2連敗してカド番となった伊藤沙恵女流名人の戦いぶりを注目していた。

第3局は先手が伊藤さんで後手が挑戦者の西山さんだ。

午前9時より中継サイトをみる。

先手の初手は26歩であっさり居飛車を選択。後手は8手目に3間飛車に振る。

3局続けての対抗型となった。午後1時より藤井猛9段による大盤解説会(YOUTUBE中継)が始まる(2台のパソコンを開く)。

午後2時前から局面が大きく動いた。

先手57手目54金から金の交換。61手目54銀から銀の交換。

この一連の流れから63手目43金と打ち込まれては後手は持ち駒は増えても玉形の差で先手よしの岐れとなった。しかし、持ち歩があるとはいえ先手も角、銀、成桂の3枚の攻めだったがうまく乗り切り107手で押し切った。

 個人的には相振り飛車を期待していたが伊藤さんとしては一つ返してきっとホットしていることだろう。次局ものびのび指してほしいものだ。

今回の詰将棋:21手詰

 

先手中飛車の真相

標記のタイトルの本が1月に出版された。

著者は冨田誠也4段。

なかなか良い本だ。ここまで研究成果を公表してもよいのかと思うくらいだ。

実戦棋譜の併記なしでまとめあげたことも素晴らしい。

時折、居飛車党の棋士振り飛車の本を出すことがあるが妙に説得力を感じないことがある。ましてやそれが<振り飛車破り>の本であればとんでもないことをやってくれる人だと一瞬、思ったりすることがある。

さて、その冨田4段が直近の順位戦中飛車を指して勝っていた。

これを「有言実行」という。

先々、3間飛車の山本、4間飛車の谷合と云われるように中飛車といえば冨田の名が浮かぶようになってもらいたいと願っている。

今回の詰将棋:17手詰

 

順位戦Ⅽ2より

2月2日第81期C2順位戦9回戦が行われた。

そのうちより、先手山本博志4段vs後手田村康介7段の一戦。

先手はよく指すいきなり3間飛車、後手もほどなく3間飛車で応じる。

玉の囲いは先手が居玉に後手金無双。

序盤早々、後手が攻めるので先手は金銀桂6枚が3段目に上がってしまったので玉はいずこの金銀へついていっていいか分からなかったのではないかと思うぐらいだ(居玉の理由)。

激しい攻防で後手の攻めをついに切らしてしまった(81手のわりと短手数)。

山本4段の受けっぱなしの将棋は大変珍しいと思った。

 

今回の詰将棋:21手詰



 

女流順位戦Aより

1月30日に第3期女流順位戦A4回戦が複数おこなわれた。

そのなかより、伊藤沙恵女流名人vs上田初美女流4段の一戦。

先手向い飛車vs後手3間飛車の相振り飛車となる。

先手の伊藤さんが時折みせる裏芸ともいえる相振り飛車である。

なんと67手の短手数で伊藤さんが勝利した。

居飛車党なのにうまく指すものである。

私が不思議に思うものが現在、進行中の女流名人戦5番勝負である。

挑戦者の西山朋佳2冠が2連勝で第3局が2月5日におこなわれる。

なぜ相振り飛車に持ち込まないのであろうか。

分が悪いと思っているのであろうか。

一局ぐらい見せてほしいと声を大にして言いたい。

 

今回の詰将棋:23手詰



1月26日の対局より

新しい年の到来もはや1ケ月が過ぎました。

アベマTVなどの中継も最近はすっかり「相掛かり」などの将棋が多く観る将棋の方も気力がわきません。そういうときはYouTubeで将棋ウオーズの振り飛車アーカイブをよく見ています。

振り飛車そのものの対局が少ないので自分が納得する棋譜に巡り合うのも少なくなってきました。そういうなか1月26日の対局より気になった2局を紹介いたします。

1つは49期棋王戦より北浜健介8段vs里見香奈女流5冠の一戦。

先手3間飛車に対して後手向い飛車。囲いが金無双vs里見金無双です。

こういうオーソドックスな相振り飛車はながめていて落ち着きます。

48手目後手は66角と切り、以下2枚銀で先手の飛車を追った攻めに少し無理があったようです。69手目先手は45角以下うまくまとめて115手で勝ちました。

もう一つは36期竜王戦より佐藤和俊7段vs菅井竜也8段の一戦。

後手の角交換型中飛車でスタートしました。

20手目後手が打った55角が46歩をかすめ取ることになりますがこういう生角は捌きにむずかしいところですが、きめこまかな動きでこの角は活躍しました。また、序盤守備にあがった32金が戦いながら62に寄せていくなど菅井さんらしい躍動感のある駒捌きで114手で勝ちました。

 

今回の詰将棋:25手詰